自治体トップが旗振り役になることを重視
次に動き出したのは、しまなみ街道を抱える愛媛県を含めた四国4県だ。四国全体を合わせると、1周の距離はおよそ1000キロで台湾とほとんど変わらない。その四国一周を、台湾に環島にならって「環四国」と名付けるプロジェクトが今年から立ち上がった。先頭に立っているのは愛媛県で県庁内に自転車新文化推進室を立ち上げ、推奨ルート作りに取り組んでいる。
GIANTや自転車新文化基金会が重視するのは、実際に自治体のトップが自転車に乗って、知事や市長自らが旗振り役になってくれるかどうか、である。
日本の行政は、部門ごとの縦割り意識が強く、トップダウンで強いリーダーシップ抜きには、道路の看板をかけること一つにしても容易には実現しないからだ。
その点、愛媛県の中村時広知事、滋賀県の三日月大造知事、守山市の宮本和宏市長ら、台湾からの「環島輸入」に熱心な関係自治体には、ずらりとサイクリストがそろっている。もともとマラソン愛好家の中村知事や、東京大学自転車部の宮本市長はすでに台湾環島を完成させており、「首長自らが自転車に乗る」という暗黙の条件をクリアし、自治体全体で取り組みに一層ドライブがかかった形になっている。
そのトップが自転車に乗るというスタイルも台湾流だ。台湾の「環島1号線」の整備を進めたのは馬英九前総統で、自身もスポーツ好きで自転車に乗っていた。柯文哲・台北市長も、1日で台湾の最北端から最南端までの500キロを一気に走り抜く「偉業」を達成し、台湾社会から拍手喝采を浴びている。社会の拍手が、行政をさらに動きやすくさせる。トップの人気も高まる。そんな好循環が、サイクルツーリズムには生まれやすい。
