今から12年前、台湾に移り住んで2年余りの日本人女性が著した一冊がベストセラーとなった。タイトルは『奇怪ねー台湾』(2005年、布克出版社)。著者は青木由香。台湾の社会、文化、台湾人の習性を愛情とユーモアをたっぷりと交えながら日中両言語でつづったこの本は、その後も版を重ね発行部数は3万冊を超えた(同書の日本版も11年に東洋出版社から刊行)。その後も青木は台湾カルチャーの水先案内人として日台双方で著作を発表し続ける一方、日本メディアの台湾取材の現地コーディネーターとしても異彩を放ってきた。現在は日本のラジオのパーソナリティー、台湾で雑貨店の店主も務めるマルチタレント・青木由香の14年余りの足跡を追ってみた。

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初めての台湾で、人々の親切さに驚く

語学留学生、足つぼマッサージ師、画家、作家、メディアコーディネーター、テレビ司会者、ラジオパーソナリティー、雑貨店店主。目まぐるしくその立ち位置を変えながら、青木はその独特の感性から台湾のさまざまな事象を捉えては発信し、走り続けて来た。青木と台湾との出会いは2002年。当時のアルバイト先の同僚から誘われて、たまたま台湾を旅行したのがきっかけだった。

青木は美大の学生時代から、バックパッカーとして世界40数カ国を旅していた。写真に興味があり、見知らぬ土地の風景をカメラに収めたいという思いが、そもそも世界を旅するようになった動機だった。言葉が通じなくても、その土地の人々とコミュニケーションをとれることが何よりの喜びと感じていた青木は、現在は渡航が難しくなったシリアやヨルダン、また内戦が終わったばかりのカンボジアにも足を運んでいた。台湾を訪れたのは、そんな放浪熱が一段落した頃だったという。初めての台湾を訪れた時の感動を青木はこう語る。

「道端の行商のおばさんが、自分が日本人だと分かると、片言の日本語を駆使して向こうから積極的に話しかけてきたのです。普通、外国では言葉が通じないとそっぽを向かれるか、反対に何とかカモにしようとしつこく絡んでくるかのどちらかですが、裏表のない笑顔を自分に向け、親切な台湾の方の対応には、世界を旅慣れていたからこそ、逆に自分はびっくりしました」