来店客には丁寧にそばの説明をする
台湾には和食を出す店は山ほどあるし、ラーメン店も数え切れない。うどんも大人気で、丸亀製麺などにはしょっちゅう行列ができている。ところがそばの専門店となると、台湾全土でも両手で数えられるほどしかない。多くの台湾人がそばと聞いてまず思い浮かべるのは、コンビニエンスストアの冷蔵コーナーに置いてあるものだろう。それほどに馴染みが薄い食べ物をわざわざ専門店まで食べに来てくださるのは大変にありがたい事だ。それだけに、来店された方に「そばっておいしいものだなあ」と思っていただけるよう日々努めている。味の追究はもちろんだが、それと同程度に重視しているのが、初めての方へのメニュー紹介で、お店ではこんな会話を重ねることになる。
「いらっしゃいませ! お好きなお席へどうぞ。「洞蕎麦」へご来店になったことは?」
「いや、初めてです」
「それではご説明させていただきます。そばには3通りの食べ方があります。麺をつゆにつけて食べるざるそば、冷たいつゆのそば、温かいつゆのそばです。つゆの原料は同じですがだしとしょうゆの割合が異なり、温かいつゆはそのまま飲んでいただけます。また月見そばには生卵が一つ入っており、その他のそばもオプションで黄身を追加できます。もし生卵が苦手でしたら味付け卵もご用意しております」
そばを運んだときにも説明を欠かさない。ざるそばだったら「お好みでこちらのわさび、ネギ、大根おろしをつゆに入れ、器を持って、中のつゆに麺をつけながらお召し上がりください。時間が経つと麺がくっついたり、食感が悪くなったりしますので、お早めにどうぞ」といったように。お客さんには健康志向の方が多いので、食後のそば湯も身体にいいと伝えれば大体の人が飲んでくれる。
また店内の壁いっぱいにそばつゆ、そば湯、そばの栄養価、年越しそば、江戸時代の屋台などの紹介文、そばの製造工程や彰化県のそば畑の写真、江戸時代の浮世絵などを掲載したり、展示コーナーにそば打ち道具一式と雑誌や書籍を並べたりしているので、店内を一回りすればかなりの知識が得られるようになっている。
