地域の生活拠点として

道の駅には、地域の課題を解決するためのさまざまな機能がある。国はそうした機能をさらに高めるため、その課題に取り組み、成果を上げている優れた駅を「特定テーマ型モデル道の駅」として選定し、支援も行っている。第1回のテーマは「住民サービス」(2016年、6駅)、第2回は「地域交通拠点」(17年、7駅)である。

「住民サービス」部門に選定された「道の駅 両神温泉薬師の湯」(埼玉県小鹿野町)は、駅内に高齢者生活福祉センターがあり、1日当たり20人の高齢者がデイサービスを利用している。駅内にバスの停留所があり、交通手段を持たない高齢者も手軽に利用できるという。年間に延べ7万4000人が利用する温泉施設は、旅行者だけでなく地域の高齢者をはじめとする住民にも人気で、地域住民のサロンともなっている。農林産物直売所は住民の買い物の場だけでなく、農林産品を出品する高齢者の生きがいの場でもある。

「道の駅 両神温泉薬師の湯」の温泉施設(写真提供:小鹿野町観光協会)
「道の駅 両神温泉薬師の湯」の温泉施設(写真提供:小鹿野町観光協会)

「道の駅 酒谷」(宮崎県日南市)では、道の駅で販売した農産物や特産品の売り上げ収益を「酒谷地区むらおこし推進協議会」に還元することにより、高齢者の見守り活動も兼ねた弁当宅配や、農作物の集荷代行などの住民サービスを行っている。

かやぶき屋根が特徴的な「道の駅 酒谷」の外観(写真提供:日南市観光協会)
かやぶき屋根が特徴的な「道の駅 酒谷」の外観(写真提供:日南市観光協会)

「地域交通拠点」部門に選定された「道の駅 吉野路黒滝」(奈良県黒滝村)は、路線バスとコミュニティーバスの乗り継ぎ場所となっている。路線バスの利用者には、自治体の補助により往復乗車券を無料で支給。鉄道も路線バスも通っていない地域に暮らす住民は、同駅があることで村外にある病院や高校、スーパーに行くことができる。

「道の駅 吉野路黒滝」の敷地内にあるコミュニティーバス(左)と路線バス(右)の乗り継ぎ所(写真提供:NPO人と道研究会)
「道の駅 吉野路黒滝」の敷地内にあるコミュニティーバス(左)と路線バス(右)の乗り継ぎ所(写真提供:NPO人と道研究会)

「道の駅 上品の郷」(宮城県石巻市)では、路線バスの縮小に伴い、地域住民の代表者で組織する「住民バス運行協議会」が住民バスの運行を開始し、道の駅を中心にバスルートが設けられた。駅のバス停に隣接する待合所には地元の高齢者が集まり、これが地域の憩いの場ともなっている。

「道の駅 上品の郷」にあるバス待合所(写真提供:NPO人と道研究会)
「道の駅 上品の郷」にあるバス待合所(写真提供:NPO人と道研究会)

2020年の東京五輪・パラリンピックに向けて、道の駅にはさらなる役割が期待されている。訪日旅行者に、道の駅を通してそれぞれの地域の文化を知ってもらおうというものだ。温泉に入ってもらうのもいい。特産物を味わってもらうのもいい。道の駅を宿泊拠点にしてドライブを楽しんでもらうのもいい。訪日旅行者向けに、紙すき体験を通じてその地域の文化を伝える取り組みを始めた道の駅もある。道の駅がスタートしてから四半世紀。その“進化”は止まりそうにない。

バナー写真=年間120万人が訪れる「道の駅 川場田園プラザ」(写真提供:株式会社川場田園プラザ)

(*1) ^ 農林水産業などの1次産業が食品加工・流通販売を行うなど経営の多角化を図ること。