チャリティーライブで「音なき拍手」を聞く

過去に2千を超える歌を作詞作曲し、台湾で最も権威がある音楽賞の「金曲奨」で最優秀台湾語歌手賞を二度も受賞した台南在住の謝銘祐さんは、本書の中で、台湾で最初に築かれた港町・安平を中心に台南の歴史を語ってくれている。自らを「府城流浪漢」(台南のホームレス)と称する謝さんは、日々台南の路上を歩き回り、お年寄りと語り合い、この町の小さな物語を拾い集めて歌を作っている。

一方、大変温かい心を持つ人で、お年寄りに楽しんでもらうことを使命とするバンド「麺包車楽団」のリーダーとして、精力的に各地の老人養護施設や病院でチャリティーライブを行っている。この活動はもう十数年間続けていて、もらった感謝状は二千枚以上になるという。

「観客の多くは脳卒中のため、寝たきりで拍手さえも出来なかったりする。でも俺たちが『思慕的人』や『望春風』など彼らがなじみ深い台湾語の歌を演奏した後、メンバーたちは皆、『音なき拍手』を聞き取るんだ」。

謝さんが作る歌と彼の歌声には、台南の人情味が満ちている。読者のみなさんも機会があればぜひ『台南』や『舀肥』などの台湾語アルバムを聴いてみてほしい。

謝銘祐さんと「麺包車楽団」(筆者提供)
謝銘祐さんと「麺包車楽団」(筆者提供)