デリバリーサービスの高手数料
今年に入り日系飲食業の撤退が目立っているのは、新時代のサービスの誕生とも関係していると私は考えている。それは、日本でもおなじみのデリバリーサービスUber Eatsとドイツ発祥のFoodpandaだ。台湾の日中は非常に暑く、また首都台北は雨も多い気候であることから、消費者が自宅や職場から出ることなく、29~30元(日本円100円=30元)という安い手数料で多種多様な飲食をテイクアウトできるサービスが支持を集めるのは必然だ。
これは時代の変化であり消費者から高いニーズがあるデリバリーサービスに対し、飲食事業者が無関心でいることは難しいだろう。実際に台北の繁華街や大学付近の昼食時間には多くのデリバリーが激しく出入りしている。一方でこれまでにぎわっていた路面店の飲食店への人出は目に見えて減っており、経営に大きな打撃を与えている。
一番大きな負担となっているのは飲食事業者がデリバリーサービス会社に支払わなければならない手数料だ。その手数料は飲食事業者の規模等により若干の違いはあるようだがおおむね28~35%だと思われる。わかりやすく言うと200元の商品を140元で消費者に売っているのと同じこととなる。一般的に飲食店の利益率は総じて低く、ここで売り上げの約30%もの手数料をデリバリー業者に支払うとなると飲食店が利益を出すのは非常に難しいことになる。ならば値上げして消費者に手数料を負担してもらえばいいかというと、価格に敏感な台湾人消費者に納得してもらうことも簡単ではない。消費者にとっては飲食店の利益があるかないかなど関係ないことだからだ。
しかし、デリバリーサービスを利用する消費者は確実に増えていくため飲食事業者は難しい局面に立たされている。利益を考えず注文を得るためデリバリーサービスに参加する飲食事業者もあるだろう。大手飲食会社ならば資金力でそのコストをカバーし、勢力を拡大することもありえる。デリバリーの流行はいずれにしろこれは時代のニーズであり、抗えない変化だ。こうした時代の速い変化に対応しながらそれでも利益を出せる営業スタイルを確立できなければ淘汰(とうた)されていくのは時間の問題である。
外国企業である日本の飲食事業者がこうした現地マーケットの変化に機敏に対応していくのは容易ではない。生き残るためには優秀な現地スタッフまたは現地に深く精通したスタッフが必要であると同時に、日本企業が苦手といわれるスピード感のある決定力が不可欠になる。