ラヘズ氏と日本との関わり

ある日ランチに寄った食堂で、ラヘズ氏は筆者に彼の先祖と「日本」との関わりを語ってくれた。

ラヘズ氏の家族を長期間、実に4代にわたって研究対象としてきた日本人の人類学者がおり、彼が譲り受けたラヘズ家に伝わる祭祀(さいし)用の器や麻の衣(ラヘズ氏が儀式をささげた際に着用したのと同じもの)等が、大阪の国立民族学博物館(みんぱく)に収蔵されているという。

ラヘズ氏は言う。

「ぼくの父は日本統治期に生まれ、学校の先生も日本人だった。その影響を強く受けた父から、ぼくも子供のころ礼儀作法や丁寧な言葉遣いを、また人や物事に誠実に向かい合う態度を教え込まれた。その後ぼくが20代の頃、なんと当時の先生が、日本からわざわざ父を訪ねに来てくれたんだ。ところが先生は父が重労働に従事し苦しい日々を送っている様子を見てがっかりしていた。子供の頃の父はずば抜けて優秀だったから。父は日本の地を踏むことを夢見ていたが、とうとう果たせなかった。だからぼくが日本に来ることは、父の夢を替わりに果たすことでもあるんだ。父の先生については九州出身という以外何も知らないが、いつかお墓参りしたいと思っている」

ラヘズ氏の作品は台東県にある「東部海岸風景區管理処・都歴遊客中心」に多数、展示されている。また、公式サイト上で最新の活動情報をチェックできる。

バナー写真=アミ族の正装で儀式を執り行ったラヘズ・タリフ氏(右)と筆者(筆者提供)