金城武さんと台湾各地を訪れた印象深いCM

台湾メディアによれば、志村さんが最後に台湾を訪れたのは「志村どうぶつ園」の撮影のため、2018年に台北を訪れた時だったという。志村さんは台湾を好きになり、合計10回以上訪問していたと言われる。

特にお気に入りは台北の林森北路にある足裏マッサージ店「豪門世家理容名店」だったようだ。私も何度か行ったことがあるが、入り口に大きな志村さんの写真が飾られている。「志村けんのだいじょうぶだぁ」という番組で、タレントの上島竜平さんと一緒に訪れて、足裏マッサージの痛さに悶絶しながらもお店を気に入ってその後も何度も通っていたという。

志村さんと台湾をより強く結び付けたであろう印象に残るCMがある。日本アジア航空(2007年に日本航空に統合)が台湾観光誘致を狙い、志村さんが日台ハーフで人気俳優の金城武さんと一緒に台湾の各地を巡るシリーズ企画だった。2002年頃に日台両方で流れ、どちらでも評判になった。

志村さんは金城さんがこぐ自転車に乗って、淡水の街の裏通りを走り抜け、淡水河を見ながら胡椒餅を食べた。東海岸では、台湾名産の果物である釈迦頭(日本名はバンレイシ)を地元のお婆さんから勧められておいしそうに頬張っていた。

志村さんがCMに起用されたのは、もともと台湾での知名度が高かったからにほからならない。売り出し中のイケメン俳優であった金城武さんとの組み合わせは絶妙コンビであり、コメディアンの顔とは違う、志村さんの自然な表情が記憶に残るCMだった。

怒りや悲しみの表明相次ぐ

蔡英文総統の哀悼ツイッターに続くように、台湾の立法委員である林静儀はフェイスブックで「志村けんさんの死去は本当に悲しい。世界中でこの病気で苦しみを受けており、怒りを覚える。本当にWHOはやるべきことをやっているの?」と怒りをあらわにした。台湾ではWHO(国際保健機関)の評判は非常に悪いからだ。

立法委員の鄭運鵬も「子供のころから自分のアイドルで、ご冥福を祈りたい」と述べ、立法委員の陳柏惟も「自分にとってテレビで最も見ていたのは志村けん、周星馳(香港の映画スター)、豬哥亮の3人だった」と述べている。

台湾においては、日本の芸能人や俳優の中に、日本以上に愛されている人がいる。例えば、酒井法子さんや飯島愛さんなどがそうで、彼女らのニュースも台湾では高く注目された。ただ、志村けんさんの場合は、幅広い世代から注目されたタレントであり、新型コロナウイルスが原因となった死去ということもあって、台湾で極めて高い関心を集める結果となった。

日本でもそれは同様で、小池百合子都知事は「志村さんといえば、本当にエンターテイナーとして、みんなに楽しみと笑いを届けてくださったと感謝したい。最後に、悲しみとコロナウイルスの危険性について、しっかりメッセージを皆さんに届けてくださった」とコメントした。志村さんの新型コロナによる死去は強いショックを若者に与え、これまで感染予防に対して積極的とは言えなかった意識を変えるきっかけになっている。

バナー写真=三陸鉄道開業30周年記念企画展のオープン記念イベントに登場した志村けんさん、2014年6月3日、東京都港区(時事)