日本の政治家の「説得力」のなさ

日本では、すでに新型コロナウイルス感染症による死亡者数は700人を超え、5月6日までのはずの緊急事態宣言による行動自粛は一度延期になり、自粛期間は約1カ月半に及ぼうとしている。緊急事態宣言が解除されたとして支援策の遅れで人生が狂ってしまう人が多数現れるだろう。4月1日に突然全面的に打ち出された全世帯への布マスク配布政策によるマスク配布率は配達を請け負う日本郵政によると4月25日時点で日本全体の4%相当である(4月27日付時事通信)。厚生労働省の同政策関連サイトを見てみると、東京都と特定警戒都道府県は配布中となっているが、その他の県はまだ準備中となっており配布の見通しは立っていない。

当然のことながら、4月27日時点で住民基本台帳に記載されている全員に一律現金給付される10万円の申請書も手元に届いていない人が大勢いる。正直いつ来るのかも分からない。申請書が届いたとして、どれくらいの人が不備のない書類を幸運にも一発で作成することができるだろうか。そして振り込まれるまでにどれくらいの時間がかかるのだろうか。布マスクの前例もあり、「スピード感を持った」対応は残念ながら期待できない。

私たちは毎日のように首相や厚生労働大臣、そしてなぜか経済再生担当大臣が兼任する新型コロナ担当大臣の発する言葉をニュースや国会中継で耳にする。それはどれも抽象的で情緒的だ。特に5月の緊急事態宣言延長決定を国民に告げる首相演説は想像以上にがっかりさせられるものだった。状況がどうなれば緊急事態宣言に区切りが付くのか明確な基準を示さずに、国民の不安をあおるだけの結果となったからだ。安倍首相は専門家会議での意見を踏まえて「総合的に判断をする」とし、国民には、「敬意、感謝、絆の力」がウイルスに勝つために必要だと述べた。プロンプターに映る首相秘書官が用意した原稿を見て、間違いがないよう(と言いながらも一番間違ってはいけないところで間違うわけだが)“読んでいた”。

せっかくの国民との危機意識の共有の場が台無しだった。やはり下手であろうとも自分の言葉でなければ、そしてプロンプターの原稿を見るのではなく、テレビの前にいる国民に話しかけるつもりでなければ「説得力」は生まれない。またその言葉と同時に「スピード感を持って」結果を提示し、メディアの前でアピールしなければ、国民には伝わらない。台湾とはまさに対照的だ。