台湾の次の4年への展望

話は変わるが、筆者がまだ博士課程の大学院生だった2011年、ある学会で発表を行った。内容は台湾政治を主に研究している私には珍しく当時日本の与党だった民主党政権の東日本大震災への対応に関する論考だった。発表の最後に私は「日本より台湾の民主主義の方が成熟している、民衆のチェック機能がきちんと働いている」と発言をした。そうするとその発言を聞いたコメンテーターの有名な台湾人の教授がニコニコしながら私に言ったのだ。「前原さんは、台湾が好き過ぎてそのような台湾ひいきの発言をするのですね」。その場にいた人々は、恐らく誰も台湾の方が日本より優っているなんて思っていなかっただろう。私の発言をこのコメンテーターの先生と同じように日本人のお世辞と思ったに違いない。

しかし、この時私が思っていたことに現在納得してくれる人は増えたのではないかと確信している。そして日本の今の状況を「大丈夫だろうか」と心配する、もしくはがっかりしている台湾の人も少なくないはずだ。と同時に台湾の人には、人々が大切に育て続けた民主主義の成熟に自信と誇りを持ってほしいと思う。

台湾では総統の任期は最長連続二期8年と決まっている。そして二期目は基本的に波乱に満ちた4年になることが多い。なぜなら次の選挙を自ら立候補するということはなくなるため、本人が本来やりたかったことを大急ぎで優先させる傾向が少なからずあるからである。現在のところ蔡英文政権は適切な新型コロナ対策により高い支持率を保っているが、Withコロナ、アフターコロナの経済の活性化、社会的弱者への配慮、そして中国との距離感など難しい課題が続く。とはいえ、台湾の市民社会と政権との相互の緊張関係があれば、次の4年も乗り越えていけるのではないだろうか。いずれにしても5月20日の総統就任式演説でどのようなことが語られるのか楽しみである。

バナー写真=記者会見を行う台湾蔡英文総統、2020年1月22日(AFP/アフロ)