愛知県でも解職請求運動が起こる
一方、日本では愛知県でも知事の解職請求運動に向け準備が進められていた。しかしこの運動は高雄市のそれに比べればシンプルだ。発端は当地で開催された国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」(津田大介芸術監督)の企画展「表現の不自由展・その後」で、昭和天皇の肖像を燃やすような動画が展示され、日本の皇室支持者の不満を引き起こしたのだった。東京で美容外科「高須クリニック」を経営し、ツイッターで80万人のフォロワーを有する愛知県出身のインフルエンサーである高須克弥院長は記者会見で、大村秀章愛知県知事が企画展の開催を容認したことで一連の混乱を招いたことの政治的責任を負うべきで、知事の解職に向けた運動を始めると述べた。
しかし、高須氏の解職の呼び掛けの後、ネット上ではそれに反対する声も多く出現した。原因は高須氏本人が過去に歴史認識についての発言で論争を引き起こしていただけでなく、大村知事側も特段物議を醸すような言動もなく、企画展によって愛知県民の怒りが湧き上がったわけでもなかったからだ。また、日本の法律では、仮に解職請求を求めるなら、愛知県の約612万人の有権者の中で、86万5400人の署名があってはじめて成立する。法律が定める2カ月の間にこの署名数を集めるのは相当に困難であろう。
台湾の選挙罷免法は1980年に制定され、途中何度かの修正を経て、1994年にほぼ現在の形になった。しかし全有権者の半数以上の投票が必要とハードルが高く、罷免の成功はほとんどないと見られていた。2016年、民進党がこのハードルを全有権者の25%の投票に改正したことで、実現可能性が高まった。先の提案者数と第一段階の署名数はそれぞれ全有権者の1%と10%で、日本に比べハードルは低い。韓氏罷免を呼び掛けた団体は、2019年12月にはすでに行動を開始しており、半年間の活動期間という時間的余裕もあった。
