リオ五輪10位の女子。タレントぞろいの現チームは躍進の予感

女子はリオ五輪では10位。残念ながらメダルには遠い成績に終わったが、その後は若手や他競技からの転向選手を積極的に登用して強化を図ってきた。

2020年2月のワールドシリーズ・オーストラリア大会では初戦で女王ニュージーランドを相手に、ハーフタイムまで0-0と互角の勝負に持ち込む健闘。最後は0-28と突き放されたが、以前はフィジカル、スピードで圧倒された世界のトップ相手に接点で食い下がるたくましさが備わり、交代で入るインパクトプレーヤーも含めて選手層は厚くなった。

14年から始まった「太陽生命ウィメンズセブンズシリーズ」はワールドシリーズと同じ大会フォーマットで毎年、国内各地で4大会を実施。世界でも他に類を見ない大会で、ニュージーランドやスペインなど海外の代表クラスも多数参戦。この大会が転向組も含めた日本女子選手の経験値を高め、日本代表の選手層を厚くすることに大きく貢献した。

太陽生命シリーズは世界でも珍しい女子の国内サーキット。国内12チームが参加して年間4大会で総合優勝を争い、海外代表勢も参戦する 写真:大友信彦
太陽生命シリーズは世界でも珍しい女子の国内サーキット。国内12チームが参加して年間4大会で総合優勝を争い、海外代表勢も参戦する 写真:大友信彦

期待を集めるのは日体大1年生の松田凛日(りんか)。

男子15人制ワールドカップ4大会で代表になり、2013年までトップリーグでも活躍した名フルバック・松田努さんの娘で、中学生時代からユースアカデミーに招集され、高1で日本選抜に選ばれ早くも国際大会を経験。スピードとパワー、プレーのダイナミックさを併せ持つ逸材だ。

元日本代表のレジェンド松田努さんを父に持つ松田凜日。「ランニングフォームがお父さんにそっくり」という声も多数 写真:大友信彦
元日本代表のレジェンド松田努さんを父に持つ松田凜日。「ランニングフォームがお父さんにそっくり」という声も多数 写真:大友信彦

スケールの大きさが光るのは日体大4年生の大竹風美子。

高校まで陸上競技の七種競技選手で、ナイジェリア出身の父から受け継いだ走力と、チームの「ポジティブリーダー」に指名された明るいキャラクターが武器だ。

大竹風美子。高校の体育の授業でバスケットボールをしていたとき、ボールを持ったまま走りだしたという、ラグビーの起源「エリス少年」ばりの伝説を持つ 写真:大友信彦
大竹風美子。高校の体育の授業でバスケットボールをしていたとき、ボールを持ったまま走りだしたという、ラグビーの起源「エリス少年」ばりの伝説を持つ 写真:大友信彦

活路は自国開催のアドバンテージにあり

男女とも、これまでメダルに手が届いたことはないが、19年のワールドカップで証明したように、本番をホームで戦えるのは大きなアドバンテージだ。

五輪のセブンズはワールドシリーズなど単独の世界大会とは異なり、スタッフの人数も限られる分、参加国はいつもと勝手が違う戦いを強いられる。

だが、日本代表はメジャーな大会でも、そもそも恵まれた状態で戦えていないから、相対的に不利な材料が減る——強引にも聞こえる理屈だが、これは4年前、日本男子を率いた瀬川智広ヘッドコーチ(HC)が大会前に明かしていた勝利へのキーワードだ。実際、通常の大会なら自分たちの希望がすべて通る環境でプレーしているニュージーランドは、そこに戸惑い、ペースをつかめず敗れた。

目下、五輪そのものの催否さえ不透明な状況だ。予定通り来夏開催されるとしても、あらゆるチーム、選手にとって不確定要素と不安材料が渦巻く。だがそれも、瀬川HCの理屈を借りれば日本にとって有利な要因になりうる。4年前の男子が強引な理屈を信じて戦い、4位という結果を得たのが何よりの証左だ。

無事開催されれば今度は自国開催、熱狂的な応援を背に戦える。もうちょっと悪のりして、都合のいい理屈を信じ抜けば、悲願のメダルだって夢じゃない——この際、そう期待したくなるのである。

(バナー写真=東京五輪の出場断念を発表した福岡堅樹。写真は2016年リオ五輪のフランス戦 時事)