香港人材の受け入れ推進を表明した安倍首相

中国政府による国家安全法の導入で香港の一国二制度の崩壊の危機が迫る中、英国、台湾、欧米各国では、どのような方法で自由や民主を求める香港人を救うべきか、対策が講じられようとしている。居留期限の延長から高度技術者移民の支援など、これら全てが検討されてきた。6月11日、安倍首相も参院予算委員会で、香港の金融センターをはじめとする人材受け入れを推進する考えを表明した。将来、香港が金融危機に陥った際、多くの香港人が日本にチャンスを求めてやって来るかもしれない。

先の都内で働く張さんは、「日本政府が香港人へより多くのチャンスを与えてくれることに、とても感謝しているが、同時に、香港人が必要なのは、国際社会からの注目と支持で、亡命を選択することは誰も望んでいない。香港がそういう状況にならないよう希望する」と語った。

また、ため息混じりに、「実際のところ、経済力のある香港人はとうに他の国へ移民していて、本当に助けが必要なのは、1997年以降に生まれた、貯蓄ができず、未来に希望が持てない10~20代の若者だ。国際社会はこの世代に注目してほしい」と窮状を訴えた。

6月9日の「香港問題から国際的連帯を考える」シンポジウムでは、日本人参加者も衆議院議員が提議した日本政府のより積極的な香港の民主主義への支持表明に共鳴していた。その中で質問に立ったある人は、「もし日本政府がより積極的に動かなければ、私たちがここで香港について議論をしていても意味はない」と悲観的に語った。

2019年に香港でデモが発生以来、欧米各国に比べ、日本政府はずっと静観を保ってきた。同年10月23日に安倍首相が中国の王岐山国家副主席と会見した際、香港情勢に関し「大変憂慮」している旨述べつつ、引き続き「一国二制度」の下、自由で開かれた香港が繁栄していくことの重要性を指摘した。

しかし、日中双方の焦点は、当時注目されていた中国の日本人学者拘束事件や尖閣諸島海域への中国公船侵犯などであり、また、王副主席の来日の主目的が習近平国家主席の特使としての新天皇・皇后両陛下の即位の礼への参列だったこともあって、突っ込んだやり取りは行われなかった。

都内で行われた「香港問題から国際的連帯を考える」シンポジウム。香港の民主活動家・周庭氏(アグネス・チョウ)はリモート登壇した(筆者撮影)
都内で行われた「香港問題から国際的連帯を考える」シンポジウム。香港の民主活動家・周庭氏(アグネス・チョウ)はリモート登壇した(筆者撮影)