諸外国の予測を超えた中国の強硬突破
2020年5月末から、香港の国家安全法に関する議論を巡り、世界情勢は緊迫していた。6月19日、中国全人代常務委員会はすでに審議入りしていた香港版国家安全法について修正を行った。その中で「外国と国外勢力が香港の実務に干渉」することを予防、制止、罰するとあった条文を、「外国あるいは国外勢力と結託」などに修正され、再び物議を醸した。律政司の鄭若驊(テレサ・チェン)司長を含む多くの香港当局者は、中国政府が修正を行うことを事前に知らされていなかったという。
新型コロナウイルスによる影響で、中国政府は当初4月29日に開催予定だった両会(全人代と全国政治協商会議)を5月22日に開催。しかし中国当局が香港版国家安全法の推進を堅持していたことと、修正の速さは周囲の想像を超えていた。
2019年6月に起こった香港「逃亡犯条例」デモから今日にいたるまで、大小さまざまな衝突が収まる気配はない。将来、中国政府が香港の「一国二制度」を廃止することは、国家安全法の審議を1カ月ほどで大幅に前進させたことを考えれば、将来、廃止の審議も速やかに行い、実施してしまうだろう。
明らかに、香港政府はすでに立法における自立性をなくしつつあり、中国政府からの横やりで独自の法律解釈権を失いつつある。親中国紙とされる香港の『星島日報』は、林鄭月娥(キャリー・ラム)行政長官が北京に向かい、中央指導者から香港版国家安全法草案を直接、受理しようとしたが、門前払いを食らったと報じた。中国政府は現在の新型コロナの混乱に乗じ、各国が国境封鎖を継続している間に、一気に香港での国家安全法導入という政治目的を達成しようとしていると見られる。
