ひと肌脱ごうと全国から医療関係者が結集
集団接種会場で働くスタッフは多種多様だ。バックヤードでは、薬剤師や看護師が中心となって、フリーザーから取り出したワクチンを注射器に入れていく。この作業を「分注」という。歯科医師も手伝うのだが、初めて聞く単語に戸惑った。
港区の接種会場では米国の製薬会社・モデルナのワクチンを使っているが、1バイアル(薬液が入ったガラス製のボトル)から0.5ミリリットルずつ、10本の注射器に分ける。薬液の量は10本分ギリギリでうまく分けないと足りなくなってしまう。途中に入った空気を取り出したり、最後の1本の薬液量がうまく吸い出せなかったりと、かなりの悪戦苦闘だった。
迷彩服を着た自衛隊の看護師、鹿児島から駆け付けた救命救急士、10年以上ぶりに現場復帰した看護師、京都や仙台から来た医師、フリーの薬剤師、そして私のような歯科医師。それぞれが、問診、分注、経過観察、打ち手などの持ち場に就く。誰もが日本の一大事にひと肌脱ごうと集まった人々だ。同じ医療関係者でも、専門が異なれば、得意とするものも異なる。新型コロナワクチン接種の打ち手となったことで、医療従事者たちが奮闘していることを知ることができた。
接種センターでの1日の締めくくりは、余剰ワクチンをどうするかだ。いったんフリーザーから取り出し、解凍したワクチンの有効期限は6時間。TACの場合、1日平均1600人の予約が入っていたが、キャンセルが生じると、用意していたワクチンが余ってしまう。余剰が出そうになると、ローガンさんはTACのメンバーや、知り合いの接種希望者を探し、ワクチンの無駄が出ないよう、待機してもらう。

