被爆地長崎は、古くは南蛮貿易で栄え、今も異国情緒漂う街。路面電車でのんびり市内をめぐってみては。
被爆の記憶を忘れない
米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)電子版が選出した「2026年に行くべき52カ所」の1つに「長崎」が挙げられた。NYTは、米国が原爆を投下した長崎について、「市中心部に投下された広島と異なり、原爆が当初の目標を外れたため、市街地の中心部が被害を免れた」と説明、「核拡散の脅威が世界中に広がる中、旅行者が訪れる強い理由がある」と評価した。
やはり長崎を訪れるからには、原爆の悲劇から目を背けることはできない。原爆資料館では、原爆投下前の穏やかな長崎の街や市民の生活と原爆投下直後の長崎の街の惨状を対比させるように再現。日本語、英語、中国語など11カ国語で解説を読むことができる。
長崎市のウェブサイトでは市内の原爆遺構をめぐるおすすめルートを紹介しているので、物言わぬ語り部の声に耳を傾けてみてはどうだろう。
ご当地スイーツ ミルクセーキ
江戸の吉原、京都の島原と並ぶ “ 三大花街 ” としてにぎわったのが長崎・丸山。この歓楽街を見下ろす小高い丘に長崎で一番の巨樹といわれる「大徳寺の大クス」がある。樹齢は800年を超え、根回りは23メートル以上も。隣接する民家を押しつぶすかのように力強く枝を伸ばし、年齢を感じさせない勢いがある。
長崎土産といえば、南蛮渡来文化を象徴するカステラを思い浮かべる人が多いだろう。NYTでは、大徳寺の大クスから歩いてすぐの「福砂屋」を紹介している。創業1624年というから、400年以上の歴史を刻んできた老舗だ。しっとりずっしりと焼き上がったカステラは、西洋と和がほどよくブレンドした優しい味わい。
歩き疲れたら長崎名物の「ミルクセーキ」でひと休み。NYTは純喫茶「珈琲富士男」のミルクセーキを紹介しているが、もともとは、九州で初めてオープンした喫茶店『ツル茶ん』が、夏の猛暑に涼やかな一品をと、砕いた氷を入れたミルクセーキを作ったのがはじまりといわれる。その後、多くの店がミルクセーキを提供するようになり、「食べるミルクセーキ」として全国的に知られる存在となった。基本の材料はミルクと卵と牛乳とシンプルなものだが、配合割合やクラッシュした氷の大きさなど店ごとに工夫を凝らしているので、飲み比べ(食べ比べ?)も楽しい。
長崎県は「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼,造船,石炭産業」「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」という2つの世界文化遺産を擁している。それぞれに魅力的な複数の資産で構成されているが、「2つの世界遺産構成資産がお隣同士」の場所がある。
「明治日本の産業革命遺産」の1つ「グラバー園(旧グラバー住宅)」と「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」である「大浦天主堂」はわずか150メートルほどの距離。2つの世界遺産を一度に訪ねて、長崎の歴史に思いをはせてみては。
市内観光には路面電車が便利。運賃は距離にかかわらず1回150円とリーズナブル。さらに1日乗車券なら600円で何度でも乗れるので、気軽に途中下車して散策を楽しむことができる。
NYタイムズは2005年から毎年、世界で訪れるべき旅行先を公表している。23年は盛岡と福岡、24年は山口が選出された。25年は富山と大阪が選ばれた。
【資料】
- 長崎市「2026年に行くべき52カ所への選定に伴う市長コメント」
- 長崎市「長崎原爆資料館-被爆遺構マップ」
- 長崎市公式観光サイト「食べるミルクセーキ」
- 農林水産省「うちの郷土料理 長崎ミルクセーキ」
バナー写真 : 長崎平和祈念公園の平和祈念像(時事)









