ICTで栽培管理 千曲川ワインバレー(長野県)
長野県・千曲川流域の東信地区でも、ICTを活用したブドウの栽培管理を行う試みが始まっている。信州大学が総務省の「IoT(モノのインターネット)サービス創出支援事業」として委託を受けて進めている事業で、環境計測機器メーカー「ウイジン」と地域のワインブドウ生産者が参画している。
3つのデータ分析で生産者支援
「千曲川ワインバレー」の東部にあたるこのエリアでは、新しいワイナリーの設立や、ワインブドウ栽培への新規参入が盛んだ。現在は上田市、東御市などの圃場10カ所に計測機器を設置。気温・湿度・日射・雨量などの10分ごとの気象データを蓄積している。
生産者にはブドウの成長段階や防除記録をデータ入力してもらい、実ったブドウは大学が回収して成分データを記録する。今後、この3つのデータを合わせて分析・解析を進め、収穫や防除の最適なタイミングを予測するなど、ワインブドウ生産者の栽培支援につなげていく。
千曲川ワインバレー分析センター研究員の亀山直樹さん(52)が説明する。「信州産ワインの『地理的表示』の議論が始まっていますが、その品質基準の明確化に寄与することが目的。蓄積データから地域特性を抽出し、ブランド力の強化につなげたいと考えています」
地理的表示とは「ボルドーワイン」「ブルゴーニュワイン」のように、産地名をブランドとして保護するための制度だが、これには統一的な品質基準が必要になる。長野県産のワインも、それがどのような特徴を持つのか解明していく必要がある。現在のデータの蓄積は、その第一歩というわけだ。
蓄積データで経験を分かち合う
気象データは機器が自動蓄積できるが、栽培記録は生産者に入力してもらわなくてはならない。現在は試験運用しながら、使いやすいシステムを開発中だ。
「萌芽や展葉、開花といった生育ステージの移り変わりや、防除の記録を入力してもらっています。畑でも簡単に入力できるよう、片手でスマートフォンの画面を操作するようなインターフェースを目指しています」と、2年前まで電機メーカーの技術者だった亀山さんは話す。
「蓄積されるデータは、やがて後進の生産者の学習ツールになっていく。他の人のデータを参照し、お互いの経験を分かち合うことで、それぞれが自分の経験知の一部にすることができる。それによって地域全体が発展していけば」





