海外に検査などのファクトを地道に伝えていく

野嶋  では、この海外における風評被害の状況をどのように改善していくことができるでしょうか。

関谷  検査結果や検査態勢がどういうものなのか、どれだけ行われているのかを知らせることが、一番の風評被害対策になります。つまり検査状況の周知徹底です。津波の被災地に行けば回復が目に見えて分かりますが、放射能災害は目で見えないので、線量の低下や農業の再開などの事実をちゃんと淡々と伝えていくべきです。「福島は元気になっている」「完全復活した」ということよりも、原発事故直後から現在になって「状況は変わっている」という点を伝え、海外の人々の認識をアップデートしていく必要があります。

今の情報発信の中には、しばしば、一足飛びに美談を伝えようとしているケースもあります。でも、海外だからなおさら単純な事実を伝えることが大事。いきなり美談では理解してもらうことは難しいのです。

野嶋  海外の人にどこを見て情報をアップデートしてもらえばいいでしょうか。

関谷  国内でいえば、福島県庁のホームページ(HP)が一番充実しており、4カ国語の発信になっています。しかし、それでは不十分です。海外の人が、翻訳があるといっても、福島県庁のHPを普通は見てくれません。どうやってプッシュ型で出していけるかが課題です。海外で、福島県産のお米や野菜の販促をやっていますが、一方で、過去には、放射能が検出されたことは事実だけれど、7年が経過し、今はほとんどND(不検出)になっているという証拠をちゃんと伝える努力はあまりしていません。全量検査の検査がほとんどNDなのに、海外の人は「全量検査なんてできるはずがない」と根本的に信じてくれないのです。

こうした状況で「おいしいですから食べてください」といっても受け入れられるのは難しい。それより淡々とファクトを海外に発信してもらいたい。なぜなら、そもそも海外の人たちはファクトに対する疑念があるわけで、まずはそこを正していくことが先だと思います。