基準値超えはほとんどなし
次の工程が検査である。容器に入った検体は、隣の検出器のある部屋に運ばれ、小さい容器(U−8容器、80-90グラム)で33分、大きい容器(マリネリ容器、300グラム)のもので10分ほど検査にかかる。小さい容器で時間がかかるのは、測定する材料が重いほど時間が短くなるという物理現象によるものだ。すべての容器にはQRコードがつけられ、サンプルを取り違えないような工夫もされている。検査が終了すると、パソコンに検出データが表示される。
検出データに、原発事故に起因するセシウム134やセシウム137が検出されることはほとんどない。検出されるのは、自然環境に存在し、人体に影響のないカリウムなどが大半だ。
全量検査を行ってきたコメについては、2015年以降、基準値の超過はゼロ。今年から全量検査をやめて抽出検査へ段階的に切り替えている。野生山菜・きのこ、川魚など、対策が取りにくい一部の品を除いて、農水産物のモニタリングでも検出例はほとんどない。
現在、福島県の農水産物規制を行なっている国と地域は16ある。特に福島県として頭を悩ませているのは、震災前から主要輸出先だった台湾と香港だ。台湾では、福島県だけでなく、千葉、茨城、栃木、群馬の5県を規制対象としている。日本政府も台湾側に解除を強く働きかけてきたが、まだ実現に至っていない。
福島県では、台湾で11月に輸入を禁じた2年前の住民投票の期限が切れたことも把握している。台湾はいま日本との関係を重視する民進党政権なので、なおさら輸出解禁をしてくれるのではないかとの期待もある。2019年1月には台湾の政府関係者が視察に訪れた。その前の年にも、台湾から消費者やマスコミによる視察団が来ている。自分たちが万全と信じる検査体制をみて、安心してもらったと感じた。草野憲司・同センター安全農業推進部長は「台湾の人々に、ぜひ福島の美味しい野菜、果物を食べてほしい」と力を込めた。


