台湾観光客がもたらしたSNS効果
沖縄には、本土のそばとは異なる独特の「そば」がある。「沖縄そば」「八重山そば」「宮古そば」といった具合に、地名を冠することも多い。本土から沖縄にやってくる人の中には「せっかく来たのだから、沖縄のそばを食べよう」と考える人も少なくないだろう。金城代表はラジオパーソナリティーからのインタビューで、沖縄で通堂を始めたころは「沖縄そばがあるのに何でラーメンなの?と、よく言われた」と答えている。そして、狙ったわけでもないのに、台湾などから沖縄にやってくる外国人観光客の間で人気を得ていく。
沖縄県のまとめによると、16年に沖縄を訪れた観光客は、前年より85万100人(11.0%)多い861万3100人を記録。このうち海外からの観光客は同年、初めて200万人を超えた。4人に1人は海外からの観光客が占める割合だ。台湾からの観光客は外国人観光客の中で最多の60万7300人で、外国人観光客全体の29.2%、観光客全体の中でも7.1%を占めた。東日本大震災の翌年の12年と16年を比較すると、沖縄の観光客は全体でも1.5倍近い伸びを示し、海外からの観光客は5.5倍も増加。台湾は4.3倍増となり、けん引役の一翼を担っていると言える。
大型水槽でジンベイザメなどを悠々と泳がせる「沖縄美(ちゅ)ら海水族館」(本部町)や世界遺産の「首里城」などが観光客の人気を集めている。PRしていないのに、台湾人観光客がたくさんいる場所もある。例えば、浦添市内の公園にある長さ90メートル、高低差12メートルの大型滑り台でも台湾人の姿が多数見られる(2016年2月29日付「沖縄タイムス」)。
沖縄県などが行った観光に関する調査結果では、通堂小禄本店でラーメンを食べたとみられる客のツイッターを紹介しており、「通堂拉麵」(通堂ラーメン)というハッシュタグで投稿されたコメントには「沖縄第一餐(沖縄で最初の食事)」とあった。小禄駅はモノレールの那覇空港駅からたったの二駅なので、沖縄到着早々に通堂に駆け込んだとしてもちっとも大げさじゃない。あるいは、最初のランチは通堂と狙いを定めておき、那覇空港周辺でレンタカーを借りてすぐ向かったのかもしれない。別のアカウントからの投稿には「去到好多人排呀……通堂(来てみたら、すごい行列)」。黒々と連なる頭の向こうに店の入り口を眺めながら、うらめしそうな表情をしながら打ち込んだのだろうか。勝手な想像が膨らんでしまう。
それはともかく、読者のみなさんはすでにお気づきの通り、通堂をめぐる喜怒哀楽がいちいちSNSで発信されているという点が重要だ。投稿が1件ずつ積み重なり、通堂の台湾進出に必要な知名度を上昇させていったのである。