通堂が台湾人に好まれたわけ

台湾から沖縄を訪れた観光客の間で、なぜ通堂が受けたのか。はっきりコレと言える理由を探すのは難しいが、台湾での韓国料理店展開や台湾からオーストラリアへの飲食業進出に携わった経験を持つ和時の倉田代表は「おいしいという感覚は主観なのですが」と断ったうえで「日本のラーメンは(一般的に)、たぶん台湾の人にはしょっぱいと思うんです。通堂のはそんなにしょっぱくないですよね」と話す。金城代表は、そもそも台湾人観光客を狙って店づくりをしていたわけではないので、人気の秘密がピンときていなかった。台湾人の間で人気が出た後に「(倉田代表らから)台湾の方が好まれる味だと聞いて、台湾の人は塩っ辛いのがダメなのだと知りました」。

沖縄にやって来た台湾観光客(撮影:松田 良孝)

そもそも、台湾人の味覚はラーメンをどのようにとらえているのだろうか。前述のツイッターには、「美食攻撃!味道好豬喔」(グルメに挑戦。うまいとんこつ)」といったコメントもあったが、知人に尋ねてわかったのは、どうやら、とんこつが好きなのはこの投稿者に限ったものではないらしいということである。

日本のラーメンは台湾人にとって、しょっぱいのも確かだろうが、解釈にはいろいろとある。台湾に進出している日本の著名なラーメンブランドで食べてしょっぱかったという20代女性は、日本人の知人の助言でスープを飲まないようにしたところ、「ラーメンを塩辛いとは感じなくなった」と話す。40代男性の意見は「(知人は)食べるたびにしょっぱいと言うのに、次もまた同じよう食べている」とコメント。ラーメン好きは結局ラーメンから離れられないという意味で、台湾には固定客がいることと同義だ。

「ラーメン=塩辛い」とのイメージができているところに、「塩」や「醤油(しょうゆ)」といった文字を見たら、余計にしょっぱい感じがして、「それもとんこつが好きな理由かもしれない」と、とんこつの相対的優位を指摘する30代女性もいた。

台湾側の関心を集めることになった通堂には、10年ほど前から台湾出店を働き掛けるアプローチが舞い込み始めた。倉田代表は沖縄の知人の勧めもあって那覇市内の通堂でラーメンを食べ、県台北事務所の仲介で金城代表に会うと、「この味を台湾に伝えたい。台湾でも人が多く集まる場所に通堂を出店したい」と口説き、昨年始めごろから台湾進出に向けた動きを具体化させた。