台南で林瑞明君と知る

交流協会台北事務所へのあいさつや上記研究報告の合間に、3泊4日で南部に行った。台南では、成功大学歴史学科の梁華璜先生に宿舎を紹介していただき、またお宅も訪問した。実は1973年初めての訪台の時戴國煇さんの紹介状をもって台北の梁先生のお宅にお邪魔したことがある。当時は台北郊外の中国文化大学で教鞭(きょうべん)を執っておられた。

この旅ではなんと言っても林瑞明君という友人を得たのが大収穫だった。彼の愛車(スクーター)のお尻に乗ってその昔鄭成功が上陸したという海辺の鹿耳門まで連れて行ってもらって台湾海峡の夕日を眺めた。翌日は高雄からバスに乗って客家の町美濃に住む作家の鍾鐵民さんの家を訪ねて一泊し、さらに高雄では作家の葉石濤さんと再会し、先生の周辺の南部の文学者、詩人の鄭炯明さん、文学評論家の彭瑞金さんといった方たちにも紹介していただいた。

その後、南部に行くときには必ずといってよいほど台南によって林瑞明君とおしゃべりした。彼が中南部の文人仲間を訪ねるのについて行ったこともある。北に呉密察、南に林瑞明。外国の研究を始めてそれほどたたないうちに、その地にいつでもおしゃべりできる友人を得たのはたいへん幸いであった。そうした人がそこにいるということは、とても心強いし楽しいのである。

還暦を過ぎた頃だったろうか、林瑞明君は腎臓を病んで隔日透析を受ける身体となったが、ずっと元気は元気で一緒に台湾最南端の鵝鑾鼻灯台や四重渓温泉などに小旅行をしたこともあった。しかし、昨年11月林君は突然逝ってしまった。林君との思い出はすでに一度ブログに書いた(*1)が、機会があればもう一度しっかり思い出してみたい。