抱腹絶倒のコントと新鮮な演出
『全員集合』に出演していたドリフターズの5人は、リーダーのいかりや長介さんのように、名前にひらがなが入っている人もいる。ひらがなは戦後生まれの台湾人にとって読みづらいものだった。そんなとき、私たちは彼らに台湾語の呼び名を付けたものだ。いかりやさんはコントの中で年配の男性役が多かったため、「阿公(おじいちゃん)」という愛称がつけられた。「長介おじいちゃん」は劇中でよく、ピッタリとしたももひきを履き、浴衣を着ていたように思う。余談だが、私の父は、冬場はももひきを履き、その上にグレーの裾の長いパジャマを羽織っていて、まるでいかりや長介さんのようだった。父は厳格な人間だったが、家族で日本の番組を見るときは、とても楽しそうで冗談ばかり飛ばしていた。
さて、ドリフターズの他のメンバーのイメージは、高木ブーさんと仲本工事さんが真面目キャラ、加藤茶さんはかっこよくて頭のいいキャラ、志村けんさんはユーモアがある一方アウトローで、女性にちょっかいばかり出しているというところだ。そのためか番組の中でツッコミを受けてたたかれるのは、いつも志村さんだったように思う。
番組は、オープニングから観客の笑い声と拍手でとてもにぎやかだ。コントのたびに変わるセットは素晴らしいの一言だった。コントは幼い頃から「そういうものだ」と教えられた常識を覆すものばかり。たとえばお葬式のコントでは、和尚さんがおならをしながらお経を読んだり、棺おけに入っていた志村さんが突然飛び上がって喪服姿の妻と踊り出すなんてシーンもあった。子供ながら、「とても大胆だなぁ!」と思ったものである。そして極め付きが「崩壊オチ」だ。最後にセットが崩れ落ち、出演者全員が滑りこけるシーンを見たときは、あまりの衝撃に大笑いしてしまった。
『全員集合』は子供の目から見ても本当に面白かった。番組の終わりではドリフターズの5人とゲスト出演者がエンディングテーマ『ドリフのビバノン音頭』を歌う。「ババンバ・バン・バン・バン」の歌声の合間に加藤茶さんが「風邪ひくなよ!」「風呂入れよ!」「宿題やれよ!」「歯磨けよ!」の掛け声をし、最後に全員が一歩前に出て「また来週!」で番組は締めくくられる。そのとき両親は加藤茶さんの真似をして子供に「学校でケンカすんなよ!」や「志村けんみたいにスカートめくりすんなよ!」などと付け加えたのだった。