中二病は愛らしいキャラ

このような「中二病キャラ」は二次元の世界では今やよく見かけるキャラ設定になっているし、現実世界でもこんなキャラの人間と会ったことがある。日本人もいたし、外国人留学生もいた。「中二病」は一般的に見て痛々しいキャラなのだが、私には愛らしく感じられる。とどのつまり、それは思春期に目覚めて肥大化した自意識と創作欲・表現欲をうまく制御できないことの結果だと私は理解している。自意識を肥大化させたまま大人になり、「コンセンサス」「コミットメント」「ジャストアイディア」「イシュー」「エビデンス」「イニシアティブ」などよく分からない横文字を振りかざしたがる意識高い系ビジネスマンの病気(名付けて「リーマン病」)や、言葉についてたいして知識もなく根拠もあるわけではないのに「目上の人に『了解しました』は失礼だ」「社内メールで『お世話になっております』と書くのはおかしい」みたいなマナー魔人よりも、中二病の方が千倍可愛らしい。

思えば私だって、日本語を学び始めたのも、小説を書き始めたのも、奇しくも中学二年生の時だった。中二病の典型的な症例の一つに「邦楽に飽きていきなり洋楽を聴き始める」というものがあるようだが、台湾生まれの私の場合は中国語の流行歌に飽きていきなり日本語の曲を聴き始めたのだ。つまり、中二病という概念が当時にはまだなかっただけで、私もまた抑えきれぬ自意識と表現欲を抱え、そのはけ口を探し求めようと苦しみ悶えていた、中二病患者の一人だったのだろう。本気で言語学習に取り組み、小説を書き、作家になることで、私はどうにか中二病を昇華させることができたようなのだが、翻(ひるがえ)せば、中二病こそが創作の源泉だ、と言うと大袈裟過ぎるのだろうか。

全国、いや全世界の中二病の少女少年たちよ、どうか中二病を恥ずかしがらず、その中二心を天から授けられたギフトだと思って大事にしながら育ってほしい。

バナー写真=Carlos / PIXTA