徹底的に隔離された14日間
隔離場所に到着すると、「里(り)」(台湾の行政区分の1つ。日本の「町」に相当)や管轄の行政機関の担当者からの電話がある。そこで再度、14日間の隔離措置のルールと違反した場合の罰則について説明される。
隔離期間中は毎日、必ず、体温と体調不良の有無を報告しなければならない。台湾CDCからスマートフォンに送られてくるショートメッセージへの返信も必須だ。後に、担当者から聞いたことだが、過去に隔離期間中に死亡したケースがあったため、それ以降、毎日の報告とショートメッセージへの返信が義務付けられるようになったという。
隔離生活2日目、担当者が通称「福袋」と呼ばれる生活用品一式が入った包みを届けてくれた。中にはオートミールやビスケット、ごみ袋、体温計が入っていた。
隔離期間中のごみ捨てには厳しいルールがある。通常の回収場所に出すのではなく、前日までに環境保護局に連絡をして、回収に来てもらわなければならないのだ。回収の際には、消毒も行われる。シロ判定が出ていないうちは、感染している可能性も考慮して、不用意にウイルスが付着したものが広がらないよう厳重に管理されているわけだ。
そして、隔離生活の最重要ポイントは、許可がない限り外出禁止ということだ。政府と警察はGPSでスマホの位置情報を把握しているので、位置情報に変化があったり、電源が切られたりすると、すぐに担当者が現地に駆け付けることになっている。違反が確認されると、最低でも10万台湾ドル(約37万円)、最高100万台湾ドル(約370万円)の罰金が科されるので、なにがあろうと、外出はしない覚悟が定まる。
隔離によって仕事を欠勤せざるをえないケースもあるが、14日間、違反なく過ごした人に対しては、インターネット申請で政府から休業補償金が支払われる。罰則規定だけでなく、補償もセットになっていることが、規則を守るインセンティブになっていると言えるだろう。
この厳しい隔離規定は、台湾CDCが感染症の流行時に設置する感染症対策本部「
中央感染症センター」の追跡管理体制を基に作られた緊急事態条例だ。日本も、海外からの入国者は14日間の隔離生活を送ることになっているが、強制力はなく、警察や行政による監視もないので、実際のところ、散歩したりコンビニやスーパーで買い物したりしている人もいるようだ。
日本には強制隔離を可能とする法律がなく、基本的人権への配慮も求められるからだ。確実に隔離を実施することは、日本では難しい課題と言えるだろう。
