2040年までに内航船の50%を無人運航にすることを目指し、53の企業・団体が協働するプロジェクト「MEGURI2040」が晴海旅客ターミナル(東京都中央区)で記者発表会を開催。日本の船舶・IT技術の粋を集めた新造船と、複数隻の自動運航を陸上から同時支援するデモンストレーションを公開した。
群を抜く船の自動化技術
無人運航の実証実験を重ねてきたコンテナ船「みかげ」が3月25日、国土交通省の船舶検査に合格した。これにより「MEGURI2040」の実証船全4隻が国内において、旅客や一般貨物を載せ、特定条件下で人の操作が不要な「自動運転レベル4相当」の商用運航が可能になった。
全国各地を航行する4隻は「陸上支援センター」が衛星回線を通じてモニタリングし、海象や航路の状況を確認しながらサポートする。いわば“遠隔管制塔”として、兵庫県西宮市の常設施設と、移動可能なトレーラー型が稼働中だ。

3月27日には、神戸~東京間で就航中の新造コンテナ船「げんぶ」を晴海埠頭に停泊させ、自動運航による離着岸を報道陣に披露。さらに西宮の陸上支援センターからげんぶと、瀬戸内海を航行中のフェリー「おりんぴあどりーむせと」の2隻を遠隔支援する様子をオンライン中継した。
複数の商用自動運航を陸上から同時支援する試みは世界でも例がないという。プロジェクトの成果について「日本の造船分野は中国や韓国の後塵(こうじん)を拝するものの、自動運航では諸外国に2周りは先行している」と、旗振り役である日本財団の海野光行常務理事は胸を張る。
海の未来を開く一歩
内航海運は国内貨物輸送の4割を担う。国民生活に直結する重要インフラながら、現場では船員の高齢化と人出不足が深刻化しており、それを解決するのが自動運航推進の主眼だ。社会実装が進めば物流の安定化のみならず、ヒューマンエラーが8割を占める海難事故の減少、減便・撤退を強いられている離島航路の維持、さらに港湾作業や漁業の自動化など波及効果も期待される。
MEGURI2040は始動から6年目を迎え、海事分野や通信、AIなど業界の垣根を超えた50以上の企業・団体が参画する“オールジャパン”体制へと発展。実証実験の段階から大型船の自動離着岸や輻輳(ふくそう)海域での無人運航をはじめ「世界初」を次々と成し遂げ、国内外1000以上のメディアでも報道されてきた。集大成となる複数運航・同時支援の成功は、海運の未来像を示したといえる。
船舶の完全無人化の実現には法令の整備も欠かせない。海野氏によると「ルール作りに向けて運航データを国土交通省に共有し、国際海事機関での条約策定にも活用してもらう」予定だ。日本の自動運航技術が世界のモデルケースになることを期待したい。
取材・文・撮影=ニッポンドットコム編集部
バナー写真:上から時計回りに、自動運航中のコンテナ船「げんぶ」、「みかげ」、離島航路船「おりんぴあどりーむせと」、RO-RO船「第2ほくれん丸」。中央は、全船を一括管理できる陸上支援センター(日本財団提供)






