燃え尽きても残る情

日本では『帰れない二人』というタイトルで公開されるが、中国語の原題『江湖儿女』や、監督自身が考えたという英語タイトルの『Ash Is Purest White』(灰は何よりも純白)には、どんな意図が込められているのだろうか。

©2018 Xstream Pictures (Beijing) - MK Productions - ARTE France All rights reserved
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「江湖という言葉には、川と湖という意味のほかに、義や侠の精神を尊ぶ裏社会の意味があります。中国人なら誰もが知っている言葉ですが、なぜこの漢字が使われているのかは分かりません。江湖には、故郷を捨てて各地をさすらうという意味もあり、さらにはその道中で出会う人間関係も含んでいます。『人がいるところには必ず江湖あり』という言葉があるのです。儿女には『愛し合い憎しみ合う男と女』という意味があります」

「英語タイトルはものすごく悩みました。チャオとビンが火山を見に行くシーンがあって、そこに『火山灰は高温で熱せられているから純化されている』というセリフが登場するんです。ビンに対するチャオの想いは打ち砕かれたわけですが、そこにはまだかすかに情が残っている。その残った情こそ最もピュアである。そういった意味を込めました」

映画を通じて、自らが生きてきた時代や、その時代の愛の形を記録し続けるジャ・ジャンクー監督。これからさらに激動の時代が到来しそうな予感の中、彼が見据える未来には果たしてどんな景色が広がっているのだろうか。その彼方へとチャオとビンが歩んでいく後ろ姿を、ずっと見つめ続けたい気がした。

インタビュー撮影=花井 智子
取材・文=渡邊 玲子

作品情報

  • 監督・脚本:ジャ・ジャンクー
  • 出演:チャオ・タオ、リャオ・ファン
  • プロデューサー:市山 尚三
  • 撮影:エリック・ゴーティエ
  • 音楽:リン・チャン
  • 配給:ビターズ・エンド
  • 製作年:2018年
  • 製作国:中国=フランス
  • 上映時間:135分
  • 公式サイト:http://www.bitters.co.jp/kaerenai/
  • 第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門正式出品
  • 第54回シカゴ国際映画祭監督賞/女優賞受賞
  • 9月6日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、新宿武蔵野館ほか全国順次ロードショー!

予告編

(*1) ^ 『青の稲妻』の公開は2002年