「台湾で最も勢いのある外国人YouTuber」として活躍する日本語教師のIku老師。自分が好きなこと、楽しいと思うことを人々と分かち合い、多くの共感を得ている。

好きなことで一番になる

小学校高学年から中学生にかけての佐藤生少年は、学校での授業に意味を見出せないでいた。いわゆる不登校児であった。しかし、そんな彼を母親は温かく見守ってくれた。通学を決して強要せず、映画館、美術館、博物館、動物園を巡るのにいつも付き合ってくれた。中学生になると、今度は学校近くの山や川で自然と戯れるようになった。

中学3年の時だった。授業を聴く気もなく、教室の片隅で漫画を読みふけっていたのに、ふと気付くと、教師がフランス革命の話をしているのが耳に入ってきた。フランス革命の進行過程が、まるでゲームかドラマを見ているかのように生き生きと感じられ、初めて授業を面白いと思った。教師に質問をし、授業に参加している自分がいた。学習モードのスイッチが入った瞬間だった。

授業にはそれまではほとんど顔を出さなかった佐藤だったが、部活だけは一貫して熱心だった。郷土芸能部、民族舞踊部、中国舞踊部を掛け持ちし、太鼓や踊りは他のどの部員よりも練習を重ね、誰からも一目置かれていた。

「日本の伝統芸能では、皆が輪になって踊ったり、一つの太鼓を皆で回してたたいたりするのですが、中国舞踊では主役がセンターを張るのです。真ん中に行くには、人より努力するしかない。それが顧問の先生にも他の部員にも認められ、卒業までセンターは誰にも譲りませんでした。これが最初の成功体験となりました。ある分野でどれだけ自分がそのことに時間を使ったのか、努力したのか。結局、成長は足し算なのです」。

勉強では遅れをとったかもしれないが、自分の好きなことで一番になればいい。勝てる分野で勝つ。ここが佐藤の生き方の原点となった。

Iku老師(Iku老師提供)
Iku老師(Iku老師提供)