豚肉を使わない和食の店が人気
東京都内で、イスラム教徒が安心して食べられる伝統的な日本料理の店としては、「東京 芝 とうふ屋うかい」(東京都港区)が人気だ。東京タワー近くというロケーションでとうふ料理を満喫できる同店には、「鴨(かも)ロース」と「ローストビーフ」はあるものの、そもそも豚肉を置いていない。外国人観光客が多いことから英語が通じる上に、イスラム教徒の対応も心得ている。
京都で、インドネシアのイスラム教徒の富裕層や政府要人、企業幹部などに人気なのが「京都祇園 天ぷら八坂圓堂」。特に、比較的予約が取りやすい岡崎店は穴場と言われている。同店では季節の魚介類や野菜を天ぷらに揚げるため、豚肉や豚エキスなどの食材、食事が出てくる可能性はない。「英語を話す料理人とカウンター席で会話を楽しみながら、旬の食材を味わえる」と好評だ。
さらに、関西を中心にいまや全国に展開する「かに道楽」もインドネシア人に人気が高い。かには東南アジアでは一般的ではなく、食べるとしても丸ごと揚げるのがせいぜい。かに鍋、かに天ぷら、かに刺し身、ゆでかになどの「かに食べ尽し」が手ごろな価格で味わえると評判なのだ。
寿司(すし)は東南アジアからの観光客の間で一番人気。それも目の前を握り寿司の載った皿が移動していく「回転寿司」は、「本場の日本に行ったら1度は挑戦したい」とされ、店内で撮影した写真がよくネットにアップされている。
マレーシア、インドネシアにある回転寿司店で、特にイスラム教徒が大好きなのは「サーモン」と「とびっこ」。日本に来ても、正体不明のに握り寿司には手を出さず、その2種類だけを食べている姿がよく見られる。東南アジアでもシンガポール人、タイ人、フィリピン人は寿司ネタを何でも食べる傾向があり、食べているネタで国と宗教が垣間見えてくる。
2020年には、イスラム教徒の訪日観光客が年間140万人になると日本政府は見込んでいる。東京五輪・パラリンピックに向けて、食の分野でも日本の「おもてなし」がさらにバージョンアップすることが求められている。
ハラル認証を受けたレストランでは、食器や食材の保管、調理道具を完全にイスラム教徒用とそうではない客用に峻別(しゅんべつ)し、豚肉、豚肉由来の食品、アルコール類を含む調味料を一切使用しない。さらに、厳密にハラルを順守する場合は調理人がイスラム教徒でなければならないというが、日本では難しいだろう。
それでも、モスリム・フレンドリーな飲食店では、飲酒客とは可能な限り席を遠ざけるなど、さまざまな配慮をしている。そうした心遣いも日本の魅力としてアピールできるように心掛けたいものである。
(バナー写真=浅草観光にやってきたイスラム教徒の観光客 写真提供:筆者)

