原宿ガールズの逆襲
——そういう原宿が失速状況の中で、米原さんが2011年夏にあえて『HARAJUKU KAWAii!!!! girls』という写真集を出した意味は何でしょう。
「僕は90年代後半に生まれた『ギャル文化』をリアルタイムで追ってきました。もともとギャル文化は若い女の子たちが自分たちのために生み出した新しいカルチャーだったのに、オジサンたちの金儲けになる商品として消費され尽くしてしまった。女の子たちが自分たちの間で個性を競うことで生まれた文化が、メディアに取り上げられて一般化し、消費主義にからめとられて消えていった。その反動として2年くらい前から目立ってきたのが、「読者モデル系」と呼ばれる女の子たちです。単にモノを買うだけでなく、それを自分たちに合うようにカスタマイズして、自分たちだけの新しいスタイルを作り出していく。モデルも読者も交換可能なんだ、という現象を生んでいる。そこには、単なるファッションやブームを超えた、彼女たちの生き方、考え方が表れています。それに、彼女たちが得意なマイナー・チェンジというのは、日本のファッション文化はもちろん、日本文化全体の大きな特色じゃないですか」
——原宿には、まだそういう個性の強い女の子が集まってくる一種のステータスがあるということですね。
「風前の灯かも知れないけれど、原宿にはそういう面が辛うじて残っていると思います。若い世代が個性を発揮することを応援して、それを面白いと思う大人たちが、まだ原宿にはいるからでしょうね。僕を含めたヘンな大人たちが絶滅したわけじゃない(笑)。一般的に今の若い子たちに個性がないと言われるのは、自分を主張する、自分自身を出す、ということの価値を教える大人たちがいなかったせいだと思います。政治の世界でもそうじゃないですか。どれだけ自分の意見を言わないかが政治生命を延ばすやり方になっている。でも若者が本当に求めているのは、自分を打ち出して付き合える人間関係だと思うんです。だからこそ、こういうキャラクターの濃い女の子たちが復活してきたんじゃないかな」
——米原さんは海外への影響力も強いですが、これからの活動でどういう発信をしていきたいですか?
「今まで一貫してやってきたように、『日本の女の子たちがこれだけ面白いんだぞ』ってことを伝えていきたい。新しいものを作り出していく瞬間の彼女たちを、自分の作品を通じて紹介していきたいですね。彼女たちが消費主義にからめとられて、形を変えられていく状況はたくさん見てきたので、そうならないような発信の場所を僕自身が作っていくのも必要だと考えています。今年あたりはまた雑誌を作ろうかなという気もしています。モノを買わせるだけじゃない雑誌があってもいいのかなと。それで採算をどう合わせるかは難しいところですけど(笑)」
撮影=五十嵐 一晴(インタビューカット)
聞き手・文=松本 卓也(ニッポンドットコム多言語部)
(*1) ^ 裏原(うらはら)=裏原宿の通称。東京都渋谷区の明治通りと表参道の間の「原宿通り」や「渋谷川遊歩道(キャットストリート)」を中心とする一帯。1995年頃から独立系ブランドの出店が相次ぎ、ストリート・ファッションのメッカとして一躍注目を集めた。





