高齢化社会の現実見つめ、「生前退位」の道は必要

このような「お言葉」を承って、国民の多くは深い感銘を受けたに違いない。ただ、陛下を敬愛するからこそ、もっと長く(できれば終身)ご在位いただきたいと願う気持ちも強い。また高齢化に伴って象徴天皇の務めをご自身で行うことが難しければ、その立場を若い皇嗣に任せて構わないから、退位すべきでない、と異論を唱える識者も少なくない。

しかしながら、陛下は現在だけでなく将来まで見通していらっしゃる。日本は既に超高齢化社会を迎え、今後もますます加速するに違いない。従って、おそらく陛下は叔父三笠宮殿下のように100歳以上の長寿を保たれる可能性があり、その場合、今の皇太子殿下は80歳前後で皇位を継承されることになる。その際、5歳下の秋篠宮殿下が「皇室典範」第八条の改正により「皇太弟」となられても、兄君の在位が20年以上続けば100歳前後でようやく即位されることになる(その段階で50歳前後の悠仁親王が初めて皇太子になられる)。

こんな状況が今後の超高齢化社会には現実化するであろうことを冷静に予測するならば、やはり数年以内に「生前退位」の道を開いておく必要があると考えられた陛下の「ご意向」は、まことに高邁(こうまい)なご見識だと思われる。それを真剣に受け止め、その実現に向けて、政府も国会も誠実に取り組んでいただきたい。

(2016年8月13日 記)

タイトル写真:天皇陛下のビデオメッセージが映し出されたテレビ画面を見る人=2016年8月8日午後、東京都江東区の家電量販店(時事)