かっぱ橋道具街(東京都台東区)の老舗・飯田屋で訪日客に人気の「和の料理道具」を紹介する。飛行機の重量超過をものともせず、ずっしりした鉄瓶を買う人が多いそう。特定の網目の茶こしがよく売れるのは?
「南部鉄器」を指名買い
鋳鉄製のやかん。ステンレスやホーローのものと比べて「重い」「さびる」「高い」といった難点があってもなお魅力が勝る。飯田屋で取り扱う鉄瓶のうち最も人気なのは、岩手県が誇る伝統工芸品の「南部鉄器」だ。
南部鉄器は、茶の湯文化が花開いた江戸時代に南部藩(盛岡藩)の藩主が京都から釜師を招いて茶釜を作らせたのが始まりとされる。18世紀に入って煎茶が流行すると、注ぎ口のある鉄瓶が作られるようになった。50~70ほどの工程のほとんどが手作業という職人の技が凝縮しており、使いこむほどに風合いが増し、一生ものどころか、親から子、孫へと受け継いでいけるのが魅力。
鉄瓶で沸かすと、水道水に含まれるカルシウムなどのミネラルが鉄瓶の内側に吸着され、湯がまろやかになり、お茶の味わいもワンランクアップすると言われる。一方、微量の鉄分が溶け出すことから、鉄分補給を意識する人もいるようだ。
訪日客が鉄瓶を求めるのは必ずしも湯を沸かすのが目的ではないらしい。
伝統的でありながら、洗練されたモダンなデザインに引き付けられるのか、「『南部鉄器はあるか』と指名買いする外国の人も多い」と、飯田屋の6代目社長・飯田結太さんが売り場を案内する。「この重厚感がクール、部屋に置きたい!」と重さをものともせずに購入していくそうだ。
見た目から入るとはいえ、折しも海外では抹茶が空前のブーム。鉄瓶で本格的に茶道を究めたい、という外国人がさらに増えるかも?
抹茶ブームの影響
「こちらは明らかに抹茶ブームとの関連で、よく売れます」と飯田さんが示すのは、茶こし。それも“40メッシュ”が突出して売れるという。
「メッシュ」は1インチ(25.4ミリ)あたりの網目の数で、数字が大きくなるほど目が細かい。40メッシュ指定が多いのは、抹茶をふるうのに最適だから。つまり、粉ふるいとして使うのだ。鉄瓶にしろ茶こしにしろ、意外な視点に気づかされる。
【今、訪日客に売れている!ひと味違う「和の料理道具」10選】
撮影=野村和幸(特に記載のある画像を除く)
バナー写真:南部鉄器の鉄瓶





