目標は台湾を象徴するようなタピオカドリンク店になること

「全てのドリンクは黄金比で作っています」

多くのタピオカドリンク店は、アイスを注文する場合氷入りだが、「MR TAPIOCA」のタピオカドリンクはアイスなし。甘さの調整も規定の一種類のみ。一切のカスタマイズ不可に少し不満を感じたが、これも謝文森さんのこだわりだった。多くのタピオカドリンクを飲み比べた結果、茶葉やミルクティーとして一番おいしく感じられる濃度と糖度に調合してあると言うのだ。

「親からは大反対されました。資金援助もないから、路面店を持つことはまだまだ先になりそうです。でもいつかもっと大きな店にしたいです。」

私も歯科医師でありながら、役者や作家として活動している。周囲からは「なんで?」「もったいない」などと言われ続けた時期もあり、理解を得るのに苦労した。謝さんも私と同じ気持ちに違いない。仕事はやりがいと好き嫌いが最も大切。しかも、タピオカドリンク作りは理系の謝さんに合っているのかもしれない。一心に仕事に打ち込む彼の姿に、私は自分の思いを重ねた。

「MR TAPIOCA」は2019年の2月にオープンしたばかりだが、周囲には11軒(19年6月末時点)もの同業者が林立している。そのうち6店舗が「MR TAPIOCA」同様、今年に入ってから自由が丘に出店した。毎月1軒のペースで増えていることになる。自由が丘はタピオカドリンク店の激戦区だ。

謝さんはタピオカドリンクブームの到来に驚きつつも、日本における台湾の食文化の広まりを実感し、喜んでいた。

自由が丘にあるタピオカドリンク店は、日本で最も多くの店舗数を持つ行列の絶えない人気店「貢茶(Gong cha)」やインスタ映えで有名な「THE ALLEY鹿角巷」 「茶咖匠」のような話題の店もある。自由が丘にしかない「茶工廠」など、バラエティー豊かだ。どこも行列ができているが、私は行列に並ぶのが苦手なため、その時々に列がいちばん短い店のタピオカドリンクを買うようにしている。

「THE ALLEY鹿角巷」(筆者撮影)
「THE ALLEY鹿角巷」(筆者撮影)

謝さんの「MR TAPIOCA」は、いまのところ1日70杯が精一杯だと言うから、原価割れしていないか心配だ。それでも、近所に住む子連れの親御さんらの間では、成長期の子供のために、ノンカフェインの「タピオカミルク」をわざわざ買いにくるなど、徐々に認知度は広まってきている。

「路面店を開き、台湾を象徴するようなタピオカドリンク店にしたいです」

謝さんと「MR TAPIOCA」の挑戦は始まったばかりだ。

「MR TAPIOCA」のキッチンカーと謝文森店長(筆者撮影)
「MR TAPIOCA」のキッチンカーと謝文森店長(筆者撮影)

バナー写真=「MR TAPIOCA」の看板とタピオカドリンク(筆者撮影)