台湾に渡り、老舗情報誌の編集長として活躍
その翌年のことだった。「中国語ジャーナル」の執筆者でもあった知人から、台湾の日本語月刊誌「な〜るほど・ザ・台湾」の編集長ポストの話が舞い込んだ。履歴書を送ると、その翌週には台湾から社長自らが飛んで来て面接を受け、トントン拍子で話が決まった。2014年7月、二瓶は再び海を渡った。
「台湾には何度も出張で来ていましたし、親しみも感じていました。そもそも老後に住みたいと思うほど好きな場所だったので、台湾で働くことに抵抗はありませんでした」
台湾では編集現場の慣習の違いに戸惑うことも少なくなかったが、「郷に入れば郷に従う」ことにした。また社長の意向を受け、観光情報を増やし、よりソフトで親しみやすい誌面づくりを目指した。デザインや記事内容を一新し、同誌の誌面改革に手腕を発揮した。すべてが順風満帆に見えた。
しかし、主な読者層である日本人駐在員の減少、紙媒体からウェブ媒体への移行、フリーペーパー自体の運営の難しさなどが重なり、2018年4月号を最後に同誌は休刊となった(ただし、経営者が変わり、2020年4月に復刊)。二瓶は当時をこう振り返る。
「経費削減のため、慣行を打破してオフィスを持たない選択もあったと思います。自分の考えを押し通せたとしても休刊を免れたとは限りませんが、自分にもっとできることがあったのではないかとの思いが今もよぎります。経営陣の判断は妥当だったと思いますし、本当に良くしてもらったので経営陣と同僚には感謝しかありません」
その後、二瓶は外国語教材を扱う地元の出版社に編集者として迎えられた。「捨てる神あれば拾う神あり」だ。また、2020年5月には、台湾の翻訳・通訳の第一人者、張克柔氏との共著で『日本人が知りたい台湾人の当たり前 台湾華語リーディング』を三修社から刊行した。台湾の歴史や文化、生活習慣などを日本人と台湾人との対話を軸に解説し、日本語と台湾華語の対訳でつづられている同書は実用書でもあり、学習書でもある。二瓶の編集者としての経験や視点も随所にちりばめられているユニークな一冊だ。

