台湾において、台湾(中華民国)籍の王貞治選手が活躍した1960年代の頃から読売ジャイアンツ(巨人)の知名度は抜群に高い。ところが、巨人に加入した台湾のプロ野球選手――呂明賜、姜建銘、そして、陽岱鋼――のいずれも、期待された活躍を見せていない。これは単なる偶然なのか、それとも巨人だから活躍できない特別な理由があるのか。『長島茂雄 最後の日』『10・8 巨人VS中日 史上最高の決戦』などの著書があり、巨人に詳しいスポーツジャーナリスト鷲田康さんの話をもとに考えてみた。

王以外は活躍続かず

日本のプロ野球で台湾出身選手が活躍する姿はもはや珍しくない。1990年代の「二郭一荘」と呼ばれた郭源治(元中日)、郭泰源(元西武)、荘勝雄(元ロッテ)の各投手。中日、阪神に籍を置いた大豊(陳大豊)はホームランバッターとして鳴らした。阪神では林威助が10年間に渡って主力打者を務めた。20年9月に米大リーグからロッテ入団したチェン(陳偉殷)の、かつての中日時代の力強い投球も印象深い。

一方、「球界の盟主」として圧倒的な人気と存在感を誇ってきた巨人では、王貞治を除いて、期待された台湾選手たちは残念ながら活躍が続かない状況だ。

現在、巨人に所属する台湾出身の陽岱鋼選手は、高校時代から日本でプレーし、2005年に日本ハムファイターズに高校生ドラフト1位で入団した。5年目からレギュラーに定着し、盗塁王を1度、ベストナインを4度獲得した。本塁打など長打力もあり、走攻守そろった、日本にはあまりいないタイプの外野手として日本ハムのスター選手となった。フリー・エージェント資格を獲得した17年、複数球団の競合の末に、5年間で15億円とも言われる大型契約を交わして巨人に加わった。

ところが、17年から19年までの3年間、成績は振るわず、一度も100安打に達していない。昨年は代打の切り札として一定の成績を残したものの、レギュラーには定着できなかった。今年もシーズン当初は1軍で先発出場する機会も多かったが、次第に控えに回り、8月から2軍、さらに一時は3軍に落とされた。

鷲田さんは、第一に、33歳とベテランの域に差し掛かっている陽岱鋼が今ぶつかっているのは「年齢の壁」だと指摘する。

「日本ハム時代の最後の頃から身体能力に衰えが見え始めていましたが、特にインコースが打てなくなりました。若い頃は、インコースでもヒットにするパワーがありましたが、いまは厳しくなっています。非常に安定していた守備力も同様です」