セ・リーグとパ・リーグの勝負スタイルの違い
年齢の問題に加えて、パ・リーグとセ・リーグとの体質の違いもある、というのが鷲田さんの見立てだ。
鷲田さんによれば、パ・リーグは基本的に力の勝負を重視するのに比べて、セ・リーグは相手の弱点をうまく突いてくる傾向がある。それは、巨人がV9を達成した川上監督時代からの伝統で、他の球団も影響を受けているという。陽岱鋼はもともとインコースが苦手。パ・リーグ時代も相手投手は内角を軸に組み立てをしてきたが、その一方で最後はやっぱりボールの力で抑え込もうというのがパ・リーグの野球。しかしセ・リーグでは最後まで内角を陽の「穴」として徹底して攻めてきている。結果として自分の打撃をできずに、調子を崩したとみられる。
「もともと台湾野球も大リーグと似ていて、いいところを伸ばしていく教育方法なので、台湾出身の陽岱鋼はパ・リーグの体質に合っていたのかもしれません」
そのインコース攻めで調子を崩してしまった台湾選手が過去、巨人にもう一人いた。
1988年代、ドラフト外で巨人に入った「アジアの大砲」呂明賜だ。現在、台湾で台北市チームの監督を務めている呂明賜のことを鮮明に覚えている日本人は多いだろう。同じ外国人選手のウォーレン・クロマティの怪我で1軍に上がって出場するや、次々とホームランを放って日本の野球ファンの度肝を抜いた。
「私は当時、巨人担当ではなかったですが、日本中が大騒ぎになりましたね。台湾出身ということもあって、王さんの後継者が現れたという期待もあった。でも、呂も欠点は内角球にあり、徹底的に内角を攻められて、最後は外角に変化球に落とされるパターンで崩された。飛ばす力は抜群でしたが、セ・リーグの弱点を狙う方法でつまずいたのでしょう」
