適応力が求められる陽
ただ、弱点を攻められたり、年齢による衰えがあったりすることは、どの選手も遅かれ早かれ直面することであり、「大事なのはそれからです」と鷲田さんは言う。
「そうした時、適応力が問われます。プロ野球の選手は誰でも身体能力は高い。しかし、いつか衰えがくる。そんな時、どう忍耐を重ねながら順応していくかです。今年巨人で活躍している中島宏之と陽岱鋼は、いい対比になるかもしれません」
中島も、西武やオリックスで活躍し、米大リーグに挑戦したこともあった。帰国後、19年に巨人に加わったが、初年度の19年は散々な結果で、年棒は大幅カットとなった。しかし、今年は1軍でレギュラークラスの活躍をしている。
「中島は昨年の結果を受けて身体の衰えを認識し、それから無駄な動作を減らすことに取り組みました。今シーズンから打撃のスタイルが根本的に変わっています。陽岱鋼も右打ちを意識するなど、努力はしているようですが、現時点ではなかなかフィットできていません」
セ・リーグとパ・リーグで言えば、確かに、台湾選手はパ・リーグの方が合っているのかもしれない。ただ、巨人というチームの特殊な事情も、まったく関係がないわけではない。
鷲田さんは言う。
「巨人は毎年勝つことが求められるので、フロントも監督もファンも他のチームに比べて、我慢できる時間が短い。だから、結果が出ないと、すぐに2軍に落とされる。陽岱鋼は即戦力としてFAで加入しているので、なおさらそうです。選手は結果が出ている時はすべてがうまく回っていきますが、いったん逆の流れになると、まったく状況が変わります。2軍に落ちたり、出番が減ると、コーチからいろいろ言われる。自分は出してもらえれば活躍できるはずだという気持ちにもなって、精神的に追い詰められていくのです」
呂明賜はわずか4シーズンで巨人を去ったが、最後は「コーチに振り回された」「巨人というチームにつぶされた」と不満を口にしていたという。トレードで巨人に加わった大物選手が期待通りの活躍ができずに1軍の出場機会を失い、失意のうちに去っていったのは台湾選手に限ったことではない。