これから書きたい人へ

最後にこれから母国語以外で作品を書いてみたいという人に対してひと言。書きたいと思ったらすぐに書けばいい。

「書きたいんだけど、書けないんです」。ぼくの周りにはこういう人たちがたくさんいる。でも、これはおかしい。書けないんじゃなくて、上手に書けないだけだ。そして一度も書いたことがないのに、上手に書けないのは当たり前だ。ぼく自身、今、中国語と日本語の両方で小説やエッセイを書いているが、上手だとは思ってない。でも、昔よりは確実に上手になった。スタートしなければ、上手になることを拒否しているのと同じだ。

最近ぼくはYOU TUBEチャンネルを開設した。やる前はいろいろ考えた。膨大な時間を取られるとか、顔出しして恥ずかしくないだろうかとか、何より一番大きな悩みはコンピューターのことが何ひとつわからない。アプリのインストールも緊張するレベルだった。

それでもやってみた。ぼくにとっては大きなチャレンジである。

それをさせたのはひとつの大きな力だった。「人はいつか死ぬ」。そう思ったとき、すぐにでもやらなきゃと体が動いた。

そういえば、台北文学賞に応募したときもこんな感じだったような気がする。

2021年1月30日に台北国際書展の紅沙龍で11時45分から1時間ほど講演を行う。その中では、台湾の社会や人が日本人であるぼくの目にどう映るか、そしてそれをどう描いていくかについて会場の皆さんと分かち合いたいと思う。

著書にサイン中の木下氏(筆者提供)
著書にサイン中の木下氏(筆者提供)

バナー写真=木下諄一氏(筆者提供)