夢が実現した日
北京アジア大会は終わったが、これが新たな始まりになった。
国際大会、特に五輪では、僕は台湾を応援するようになった。台湾の金メダル獲得を夢見ながら。その頃、僕は引っ越していて、一緒にアジア大会を見た友達とは別々に住んでいたが、それでも、ふと二人で金メダルを渇望した時の光景が頭に浮かぶことがあった。
「神様、どうか台湾に金メダルを」
そうやって10年余り。アテネ五輪のある日、台湾が金メダルを取ったというニュースが飛び込んできた。女子テコンドーの陳詩欣選手。テコンドーのことは何も分からなかったが、そんなことはどうでもよかった。うれしさが体中にこみ上げてくる。台湾が金メダルを取ったのだ。
僕はある航空会社の機内誌の記事を書いていたが、すぐ編集部に連絡して、このニュースを載せてほしいと頼んだ。編集部は、僕が記事を仕上げると大きな扱いで紹介してくれた。
それからさらに20年ほど。
今回の東京五輪。冒頭にも話した通り、ここで台湾は素晴らしい成績を収める。かつての、北京アジア大会の頃の台湾からは考えられないことだ。
僕自身、今はもう台湾の金メダルに対して、あの頃のような特別な思いはない。台湾はすでにいくつかの競技で日本もかなわないほどになっている。それでも僕は台湾を応援する。
五輪で台湾選手がメダルを取るとフェイスブックに関連の記事が満載となる。みんなの喜びが躍る。それを眺めていると、僕も楽しい毎日を過ごすことができる。
僕が五輪で台湾を応援する理由は30年の月日を経て、ここに行き着いた。
バナー写真=バルセロナ五輪の野球準決勝で日本に勝利した台湾、1992年8月4日(AP/アフロ)