本社神輿渡御: 40分に凝縮された男たちの想い
三之宮は一日かけて南部町会16ヵ町を渡御する。それぞれ渡御できる時間は40分ほど。宮出しから9時間ほど経過した午後3時、ようやく駒形町会に本社神輿がやってきた。引継ぎの儀式で、恩田さんの合図が響き渡る。町内渡御では笑顔に満ちていた担ぎ手たちの表情が一変し、目つきが明らかに違ってくる。誰もが神様の乗る神輿を担ごうと、花棒と呼ばれる担ぎ棒の先端部を目指す。その勢いは桁違いだ。恩田さんは体を張って担ぎ手たちを落ち着かせた。ようやく担ぎ手たちが位置につく。恩田さんの一本締めとともに、駒形町会2年ぶりの本社神輿渡御が始まった。
三之宮が激しく揉まれながら駒形町会をつき進んでいった。担ぎ手たちの熱気に包まれ、三之宮は時に蛇行し、後退することすらある。狭い路地で、担ぎ手たちに押しつぶされそうになりながらも、青年会のメンバーが三之宮を導いていった。多少のいさこざが起きても、「計算のうちです」と冷静に対処していく。
「この40分のために1年をかけて準備してきたんですから」。駒形町会の本社神輿渡御を支えてくれる担ぎ手は全国から参集している(参照/「担ぎ手:誰もが憧れる、“器の大きい人”が出現する」)が、「町会に友人や知人がいる」、「町会神輿の細工や半纏(はんてん=参照:「半纏コレクション」)のデザインが好き」など、その理由はさまざま。そんなすべての担ぎ手に満足してもらえるように、青年会は全精力を注いできたのだ。
「1年で一番短い40分間」があっという間に過ぎ、本社神輿は次の町会への引き継ぎの場所へ着いた。恩田さんの掛け声で三本締め。続いてわき起こった「せいや」の大連呼。その声はいつまでも止みそうになかった。
本社神輿渡御を終え、しばし休憩。その後も、駒形町会では町内渡御が繰り返された。一年で最も充実した、エネルギーを爆発させた40分間の喧噪を終え、神輿を担ぐ人たちのステップは満足感と開放感に満ちていた。
そして、解散式。2012年の三社祭終了と同時に、2013年の三社祭が、また始まった。




























