素材をシンプルに調理する
食材探しは、今も萩さんの日課である。予約のある日は、地元の農家を回って自分の目で吟味した野菜を仕入れる。農家を回ることで、料理人としての発見も少なくない。
「自分や周りの食材のいいものを必死に探しました。そうしたら、福島にはたくさんすごい食材があったんです。7年ぐらい本気で福島中の食材を探したら、いつの時期にも、いい食材、おいしい食材があることに知りました。それをスムーズに手に入れるようになったところです」
食材に精通してくると、萩さんが長年学んできた料理の方法も変わってきた。フランス料理はソースを使ったものが中心で、素材は加工されることが多い。萩さんも昔はそうした料理を作ってきた。だが、今作っている料理はその真逆に、あくまで素材をシンプルに調理する料理である。
「シンプルに調理するというのは、料理人にとってつらいことですが、農家の人たちには喜んでもらえると思います。昔、最高のブロッコリーが中華料理店で八宝菜に混ざっていたことを見たことがあります。野菜でもちゃんと素材を生かして調理したら、それを食べるためにお客さんは県外からも来てくれるんです。いい野菜は皿の上から素材のいい香りがしてくるんですね。皿の上にいろいろな味付けするのをやめたら、そういうところも分かってきました」
