いよいよラグビーワールドカップ2019日本大会(9月20日開幕)が近づいてきた。ジェイミー・ジョセフ率いる日本代表は、果たしてどんな戦いを見せるのか。前監督エディー・ジョーンズも太鼓判を押す、その実力とは——。
2019年。
5月1日に元号が平成から令和へと変わった節目の年、日本はラグビーワールドカップ(W杯)のホスト国となる。
2015年のイングランド大会では「エディーさん」こと、ヘッドコーチのエディー・ジョーンズ氏に率いられた日本代表は強豪国の南アフリカに勝ち、世界に衝撃を与えた。
あれから、4年。
日本代表は強くなっているのだろうか?
答えは、「イエス」だ。
日本ラグビーは4年で大きく発展した
現在はイングランドのヘッドコーチとなったエディーさんが、W杯を約1年後に控えた2018年の秋に、ラグビーの聖地とも称されるトゥイッケナムで日本と戦った後、太鼓判を押してくれた。
「私が日本代表のヘッドコーチを務めていた時は、ティア1(世界のトップを構成する10カ国)のチームとはテストマッチを組んでもらえませんでした。2014年、W杯の前年秋のテストマッチの相手はルーマニアとジョージアでした。それがいまは違います。日本はオールブラックス(ニュージーランド代表)と戦い、そしてトゥイッケナムでイングランドとの対戦が組めます。これは日本のラグビーが大きな発展を遂げたことを示すものでしょう」
W杯で優勝を狙える実力を持つイングランドとのテストマッチで、日本はしっかりとその実力を発揮した。前半はFWが対等に渡り合い、15対10とリードして折り返す。後半はイングランドにスイッチが入り、結果的には15対35で敗れたものの、列強とも十分に戦える力があることを示した。
エディーさんはこんなコメントも残している。
「今日の日本代表のパフォーマンスにも満足していますし、ラグビー国としての地位が上がったことは間違いありません。さらにここに日本のメディアがたくさん来ています。ラグビー・コミュニティーができているのです。ヘッドコーチのジェイミー(・ジョセフ)とアタックのプランを練っているトニー(・ブラウン)は素晴らしい仕事をしていますし、リーチマイケルの卓越したキャプテンシーによって、次々に若くて才能のある選手がブレイクしていることがうかがえます」
私も同感だった。着実に地力は上がっている。
2019年に入り、日本代表はW杯に向けて着々と準備を整えつつある。代表の準備期間を長く取るために国内のトップリーグを前倒しで終了させ、2月からは数次にわたる合宿に入っている。
練習は、「ハードワーク」が有名になったエディーさんのチームよりも強度が高いという。
ある選手は、「タフな練習をケガせずにやり抜き、タフであることを証明しないとメンバーに残れないかも」と話す。
選手にタフネスを要求するジェイミーのこのアプローチは、本番まで変わらないだろう。W杯開幕直前の9月6日には埼玉・熊谷で因縁の南アフリカとのテストマッチが組まれている。
勝たなければ、意味がない
W杯前に、強豪国との対戦を組むのか——。
当然、ケガのリスクも増える。
正直なところ驚いたが、準備期間の最後の最後まで、ハードに準備を行い、タフな選手たちをそろえてW杯に挑む算段を組んでいるようだ。
前回大会から4年、列強と戦う経験を重ね、選手たちのマインドセットはさらに変わった。
「強豪と対戦するだけではなく、勝たなければ意味がない」
という意識を持つようになっている。
そしてまた、マインドセットが変わったのは選手たちばかりではない。日本のファンもそうだ。
2018年11月3日、味の素スタジアムでオールブラックスとの試合が行われた。前半は健闘していた日本代表だが、後半に入って敗色が濃厚になったとき、観客の落胆が場内の空気を支配した。
過去最多となる5つのトライを奪っていたのに、である。
これが私には驚きだった。
いまからさかのぼること32年前、1987年に第1回W杯で優勝したばかりのオールブラックスが来日した。大学生だった私は、国立競技場で行われた日本代表とのテストマッチ第2戦を観戦した。司令塔であるスタンドオフを、「ミスター・ラグビー」と呼ばれ、当時は神戸製鋼の選手だった平尾誠二が務めていたことを記憶しているが、結果は4対106での敗戦。まったく歯が立たなかった。
それでも、日本人としてまったく悔しさを覚えなかった。
実力差が甚だ大きいミスマッチだからハナから勝てるとは思っていなかったし、むしろ、オールブラックスが圧倒的なプレーを披露すると、スタンドからは歓声が沸いたことを記憶している。
オールブラックスは、日本人にとっても憧れのチームだった。
ところが、W杯で南アフリカを倒した日本代表を見たファンは、いまや、たとえオールブラックスが相手でも、好試合を期待するようになった。いや、番狂わせを観たいと本気になっていた。そして31対69の敗戦にがっかりするようになった。
日本代表に期待するファンの熱は、9月に始まるW杯でも大きな武器になるだろう。


