ネットを介した抗議の呼び掛け
成都では12月5日から大規模なスモッグが発生、ネットではもはや「成都」ではなく発音の似た「塵都」だと言われていた。こうした中、網民は「我愛成都、請譲我呼吸(私は成都を愛しています。私に呼吸をさせてください)」とネットで人々に市中心部の天府広場に集まって抗議することを呼び掛けたのだ。
この呼び掛けに対し、「成都の90後は自らの主張を始めた。彼らはもはや我慢できず、街へと出た。子どもたちにこんな生活をさせた、こんな世界を与えたことで、われわれはみな同罪だ」と、このような書き込みで応じたという。
さらに網民による「一人一図反霧霾」(1人1枚(写真)でスモッグ反対)というマスクを着け、スモッグの中で標語を掲げた写真を投稿するように呼び掛けるキャンペーンも行われた。
しかしこうした呼び掛けは、当然のことながら当局も警戒しており、10日に予定していた活動は事前に当局によって阻止された。微博での呼び掛けはたちまち削除され、管理者は「書き込みはデマだ」と声明を発表。同日の天府広場の入り口には大量の警官が配備され、人や車の進入が禁止となった。春熙路にはマスクをした若者が集団で地面に座ったが、警察に職務質問を受けたという。
「一人一図」の写真もたちまち削除され、スモッグを題材に作品を発表した成都のカメラマンも後日警察に呼び出されたようだ。RFAによるとこのカメラマンはネットに「スモッグ写真をネットで発表したため、カメラマンと助手が警察に連行された。このような写真は撮影も発表もできない」と書き込み、スモッグの中で立つ人やかすんで見えないビルなどの7枚の写真を掲載。さらに「次のような写真は多く発表すべきだ。カメラマンとしてわれわれはより多くの『正能量』を大衆に発表すべきだ」として、青空と白い雲の2枚の写真も載せたと報じている。
ここで言う「正能量(プラスのエネルギー)」とは、中国共産党や政府を賞賛するような内容のことで、多くは「五毛党」と呼ばれる御用ネットユーザーらによる書き込みや文章である。
このカメラマンの「正能量」の書き込みと青空写真の投稿に、多くの網民は「高級黒」だと指摘している。高級黒とは、表向きは当局の政策を支持しているように見えて、裏で批判や皮肉を込めた中国ネット独自の言い回しだ。
また、この書き込みをネットで転載した人はRFAに対し、中国政府は「問題を解決するのではなく、問題を提起した人を処分する」という一貫した考え方をしていると指摘し、続けて次のように述べた。
「当局が一番恐れているのは、カメラマンがスモッグの実情を人々に伝えることだ。人々がもはや身を隠す場所がないと理解し、行動を開始した時、この体制は崩壊する。それゆえ当局は神経過敏になり、カメラマンがスモッグを吸い込んで死のうとも、こうした事情を撮影し発表することを許さないのだ」