マレーシアはアジア初の国境封鎖

事実上のロックダウンを開始してから1カ月以上が経過する中、マレーシアではここへきて確実にその効果が見え始めている。

3月前半までは目立った陽性患者数の伸びが確認されていなかったが、3月15日に突如として前日の35人から190人と急激な陽性患者の拡散が発表されて以降、政府の動きは非常に迅速であった。翌16日にはムヒディン首相が緊急会見をして、わずか2日後の18日からの事実上のロックダウン開始を宣言。アジア初の国境封鎖を断行し、厳しい活動制限令を敷いた。しばらくの間、陽性患者の数は連日100人超え、多い日は200人以上を記録し続けていたが、その後、感染者数は下降の兆しを示している。活動制限令から約1カ月後となる4月15日には、1日当たりの新規感染者数は100人を下回り、その後も、20日36人、21日57人、そして27日40人、28日31人と、1カ月ほど続いていた新規感染者数100人超の状態を脱しつつある。

累計の死者数を感染者数で割った致死率は、世界平均が7%弱と見られる中、マレーシアの致死率は、5月4日時点で1.4%と世界平均を大幅に下回っている(日本は3.5%)。

そんな中、メーデーであった5月1日、ムヒディン首相は「経済の維持と感染抑制の両立を図らなければならない」と、突如として経済活動を4日から再開させることを表明した。当初は、経済活動の停止による大きな損害を見込みながらも、事実上のロックダウンを迅速にスタートさせたマレーシアが、一定の感染抑制効果を確認した上で、経済活動との両立を図り始めたと言える。一方、医療関係者や警察官などをフロントランナーと称え、この過酷な状況下で働いていることに感謝するポスターや看板がいたるところに掲げられており、感染封じ込めに向けた国民の団結意識はなお強い。

ちなみに、当初2週間の予定で出された活動制限令は、現在まで4度にわたって延長され、6月9日まで続くことが発表されている。マレーシア政府はロックダウン効果を認めつつも、油断はせず、感染の封じ込めを徹底するという厳しい姿勢を見せてきた。

政府は引き続き国民にソーシャルディスタンスの遵守など油断せぬよう呼びかけており、経済活動の影響がどのように出るか、今後の行方が注目される。

高齢のマハティール前首相に代わって就任したマレーシアのムヒディン首相 就任後ほどなくして起きたこの緊急事態で「温かくも強いリーダーシップを発揮している」と国民から評価の声は高い(筆者撮影)
高齢のマハティール前首相に代わって就任したマレーシアのムヒディン首相 就任後ほどなくして起きたこの緊急事態で「温かくも強いリーダーシップを発揮している」と国民から評価の声は高い(筆者撮影)