コロナをきっかけに人とコミュニティーの在り方にも変化

世界の状況は劇的に変わった。今は多くの人が、「コロナさえ収まれば」とあらゆることを耐え忍んでいる。だがコロナ禍が収束すれば、以前のように再び気軽に日台を飛び回れるのだろうか?

値上がりした航空運賃にウイルスの検査証明、隔離のコスト、新たな感染症発生の可能性などがこれからの旅に付きまとうとすれば、距離や国境を超えた交流は、どのように変化していくのだろう?

非常事態宣言や自粛の影響のみならず、LCC(格安航空会社)路線の発達でインバウンドの恩恵を受けてきた地域の打撃は深刻だ。尾道の豊田さんはゲストハウス2軒の存続のために、クラウドファンディングを募り、500万円ほどの資金を集めた。中にはかつてヘルパーで手伝いに来てくれた仲間など、台湾をはじめ海外からの支援も含む。

一方、感染リスクの高い都市部を離れ、地方へ移住する関心も高まっている。「空き家再生プロジェクト」が運営する空き家バンクは2009年の立ち上げより約120件の成約があるが、コロナ禍以降はこれまで以上に問い合わせが増えており、海外からの移住希望者も目立つという。 

日台をつなぐ雑誌『LIP』の編集長・田中佑典氏がここ数年提唱してきた、福井県発祥の「微住」や「ゆるさと」というコンセプトによる動きも本格化してきた。「微住」とは、「観光でも移住でもなく、地域に暮らすように短期間、地域に携わりながら“ゆるさと”を探す旅」であり、「旅先の地域の余白に自分の居場所を求め、おもてなし“合う”」を意味するという。

これからのコミュニティーとは、「その地域」に実質的に属する人だけが仲間とは限らないと私も思う。同じ価値観を持つ人々が地域や国境を超えてオンラインでつながり、情報交換し、支援し、協力、連帯しあう。

例えば「空き家再生」「まちづくり」という価値観を共にする同士で密に情報交換をしながら、旅行の時間が潤沢にあれば、手間と費用をかけて現地を訪れ、知らない文化を学んだり、楽しんだり、仲間らと共に働く。離れていても、何かしら相手の「役に立てる」と思いながら、今を、自分を生きる。そういう関係はとてもすてきではないだろうか。

少なくとも、今回見聞きする事のできた尾道と台湾との間で寄せては返す波のように交流が深まるエピソードは、コロナ禍の困難に向き合う私たちに国境を越えて価値観を共有するポジティブな可能性について、教えてくれた気がするのだ。

バナー写真=広島県尾道市で開催されたマルシェ「尾道的台灣小宇宙」の階段入口(「尾道空き家再生プロジェクト」提供)