1本1本、極限までこだわる竹ひご作り
「地下茎(ちかけい)でつながる竹全体の寿命は60〜120年と言われますが、制作に適しているのは樹齢3〜5年の若い竹。しなやかで加工に適しているんです」(小倉さん)
そう語りながら、工房で竹を割り、細いひごを作る工程を見せてくれた。まずは竹を鉈(なた)で割っていく作業から。竹は中空になっているので、繊維に沿って刃を入れるとスパッと割れる。
使用する竹は、青竹(真竹)・黒竹・白竹の3種類。どれも京都または近郊の産地の竹にこだわっているそうだ。
「京都は年間の寒暖差が激しいため、肉厚で身が締まった美しい竹が育ちます。白竹(しらたけ)は、竹職人が青竹を火で炙(あぶ)ったり、苛性ソーダで煮たりしながら油を抜いて仕上げた物で、これ自体が工芸品といえる存在。この上品な白さと艶(つや)は、京都ならではです」
細かく竹を割った後も、青竹の皮をそぎ、面取りで角をなめらかにする作業が続く。さらに刃物を使って、ひごの幅と厚みを極限までそろえていく。出来上がった竹ひごは、どれも角がなくすべやか。この材料へのこだわりこそが、繊細な柄や形を生み出す土台となるのだ。
今年で独立して9年目を迎える小倉さん。唯一無二の作品が評価され、2018年5〜7月は、アメリカ・ポートランドで開催中のグループ展に参加している。そんな彼女が自らつけた屋号は「京竹籠 花こころ」。この名には、自分が目指す心のありようを込めていると笑顔で語る。
「毎日ものづくりをしていると、時々自分の迷いやあせりが作品に出てしまうことがあります。余計なことを考えず、ただいちずに咲くことだけに懸命な野の花のように。そんな気持ちで挑んでいきたいと思っています」
京竹籠 花こころ
https://www.facebook.com/kyotakekago.hanakokoro/
取材・文=山口 紀子
写真=山崎 純敬






