
日本の世界遺産一覧
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奄美・沖縄と北海道・北東北の縄文遺跡群が同時登録
国連教育科学文化機関(ユネスコ)は2021年7月、オンライン開催となった世界遺産委員会で、日本が推薦した「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」と「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録を決定。奄美・沖縄は20年度推薦分だったが、新型コロナウイルス流行の影響で同委員会が1年延期となっていたため、2件同時に審議された。
世界自然遺産に登録された「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」は、国内最南端、最西端の世界遺産となる。4つの島がある琉球(りゅうきゅう)列島は、かつてユーラシア大陸の一部で、太古の地殻変動によって分断・孤立。亜熱帯の照葉樹林やマングローブ林など豊かな自然が広がり、独自の生態系が残る。奄美大島と徳之島のアマミノクロウサギ、沖縄北部のヤンバルクイナ、西表島のイリオモテヤマネコを代表に、国際自然保護連合(IUCN)のレッドリストに記載される絶滅危惧種が95種も生息。生物多様性の保全において極めて重要な地域であることが評価された。
左上から時計回りにアマミノクロウサギ、ヤンバルクイナ(写真:OCVB_K.P.V.B)、イリオモテヤマネコ(写真:OCVB)
日本最大級の縄文集落跡・三内丸山遺跡(青森市)、「秋田のストーンサークル」と呼ばれる大湯環状列石(秋田県鹿角市)など、17の遺跡で構成される「北海道・北東北の縄文遺跡群」は世界文化遺産に登録された。
紀元前1万3000年から、稲作が広まった弥生時代(前3世紀-後3世紀)までの1万年以上にわたった縄文時代。同時期の日本以外の地域では、農耕や牧畜を基盤に定住したのに対し、縄文人は狩猟や採集、漁をしながら、竪穴住居の集落や共同墓地、祭祀(さいし)場を築いた。環状列石など同一の文化が津軽海峡を挟んで点在するため、交易もしていたと推測される。ユネスコの諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)は、「農耕以前の定住社会と複雑な精神文化を示し、定住社会の発展段階や多様な環境変化への適応を示している」と評価し、登録勧告していた。
国の特別史跡・大湯環状列石の一角を形成する万座環状列石(写真:時事)
4つの環状列石が並ぶ秋田県北秋田市の伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡(写真:時事)
世界遺産は、1972年のユネスコ総会で採択された「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」(世界遺産条約)に基づいて、人類が共有すべき「顕著な普遍的価値」を持つと認められた遺跡、景観、自然などがリストに登録される。
日本では93年12月、法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)、姫路城(兵庫県)が世界文化遺産に初めて登録された。今回の登録で日本の世界文化遺産は20件、自然遺産は5件に増え、国内の世界遺産は合計25件となった。
世界全体では現在、1154件の世界遺産(うち文化遺産897件、自然遺産218件、複合遺産39件)が登録されている(条約締約国194カ国)。
日本のユネスコ世界遺産 (*は自然遺産)
バナー写真:三内丸山遺跡(時事)